┌────────────────────────┐ │稲葉小学校学校課題研究通信 │2001. 6.19 発行 │ │第 20号 │ │文責 山中 │ │ └────────────────────────┘ 第一回目の探検ツアー (第2トーヨーボール) (このような「主観的な記録」が、後で意外に参考になるものです。研究の記 録としても、残しておくとおもしろいものができあがります。「教師の見た目 による探検ツアー」などという題名にして) 1 出発 いつもよりも早めに家を出るつもりが、いつもより遅くなってしまった。集 合時刻には十分間に合う時刻とは言え、失敗である。失敗といえば、計画表を 慌てていて家に置いてきてしまった。あらかた頭に入っているし、携帯電話の 番号は入力してあるから、何とかなるだろう。 公民館は児童とその送迎の保護者の車でにぎわっていた。駐車場は公民館の 裏手だというので、道なりに進んでいくと、本当に遠く離れたところに駐車場 があった。そこに止めて急いで歩いていく。 公民館で 先生たちに会う。最初にトーヨーボールに着く予定のグルー プが乗る電車が8時13分なので、それに乗れるように歩き始める。本当はも う1本早い電車に乗って、先に着いている計画を立て、前日 先生に時刻を 教えてもらっていたのだが、結局それに乗れなかった。最初にしては失敗の連 続である。反省。 2 電車 駅まで歩く。ちょっと前に一つのグループが歩いている。なるべく知らぬ顔 をして歩く。 暑い日で、汗をかきながらやっと駅についた。児童が切符を買っている様子 を駅舎の外から何気なく見守る。なるべく顔を見せないようにする。周りに高 校生がいて恥ずかしいのもあるが、児童が児童自身で行うのがねらいのひとつ であるから、教師がうろうろして余計なおせっかいをしたり、頼る気持ちを起 こさせたりしない方がいいのである。そこいらのおじさんを気取って歩く。も っとも、気取らなくてもどこから見ても、そこいらのおじさんである。 ホームにはたくさんの稲葉小児童がいて、私がホームに行くと口々に、 「あっ、山中先生だ!」 と指を指す。口に人差し指を当て、 「しーっ!」 と言いながら、しらばっくれてちょっと離れて位置を取る。 間もなく電車が到着し、全員乗り込んだ。車内は今時の高校生もいて、社会 ウォッチングの格好の機会であった。最近の高校生は本当に平気で床に座って しまう。でも、お客さんが乗る時にはちゃんと立って場所を空けていたから、 彼らなりの常識はあるのだろう。こちとら、彼らよりも先にこの世からおさら ばする身である。将来は彼らの価値観が常識になっていくのだ。そうそう目く じらを立てるものでもないのかもしれない。若い者の考えの方が正しいのであ る。ただし、年寄りの意地もあるから「はいそうですか」と全て納得するわけ にはいかない。滅びるにしても抵抗しつつ滅びるのである。若者は抵抗の中か ら若者の思想を作りあげるべきなのである。 なんてことを考えながら(本当は広告を読んでいただけだが)、目的の駅で 降りた。 3 ボーリング場へ 一緒に降りるグループがいるので、そのグループの後ろから、興信所の所員 か私立探偵かストーカーのように、いやこれでは例えが悪いから、「お母さん、 来なくていいからね」と今朝言われたのに、どうしても心配で息子の入試の会 場まで隠れながら着いてきてしまう母親のように、着いて行こうという計画だ ったのだが、何と駅にはだれも降りない………。仕方ないので駅員さんに、 「第2トーヨーボールはどっちへ行けばいいですか?」 と聞いた。 後は、計画の時に 先生にちらっと見せてもらった地図の位置を頼りに適 当に歩いていく算段である。