指導員記録「まっせんダイアリー2001」

01年8月


#76 8月24日(金)「ヨッシーの涙・・・」

みなさん、お久しぶりです。勝手をしましたが約一ヶ月間、日記をお休みさせてもらいました。

なかよしの夏休みが始まってから、ほんとに毎日いろんなことが起こった。
感動!興奮!涙!事件!汗まみれ!泥まみれ!真っ黒け!
夏休み参加の15名の子ども達は、まさしくこんな夏を過ごしている。

親御さんたちから苦情がくるかと心配なくらい、毎日疲れ果てるまでに遊びまくる子ども達。
ここまでくたくたに疲れるまで遊んでいる小学生はそういないはずだ。
内容はともかく(笑)、この点に関しては自負がある(だって指導員もどす黒く変色するほどだもの)

どのくらいこの夏のことをお伝えできるかわからないが、
小出しでも、全日をなんとか伝えていきたいと思っている。

7月から順に追っていったほうが分かりやすいので、早速7月・・と
いきたいところだが、今日は、とても悲しいことが夕刻に起こってしまい、
そのことだけ、今日はどうしても伝えたくて、
再開なのに、辛い内容だが、書くことにする。
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 はむっちが、今日死んだ。

わけあって、4日ほどアイボンの家にいた。お盆休みもユウとヨッシーでとりあいするように
ちゃんと面倒をみてくれていて、はむっちはすこぶる元気だった。

アイボンの家でも、可愛がってくれていた。昨日も元気に遊んでいたらしい。
今朝も元気だったという。

なんで?どうして?死んでしまうの?

午前中、体育館で思い切り遊んだなかよしの面々。
アイボン母も駆けつけてくれ、もう最高におもしろいキックベースも楽しめた。
はむっちはアイボンの家で留守番だ。夕方にヨッシーに世話をバトンタッチする予定。

午後からは市民プールへむけ出発。アイボン母とも別れ自転車を
西に走らせていた。

携帯が鳴った。アイボン母からだった。
「はむっちって、寝てるときでも息して動いていますよね」「うん、おなかのところがね、動いてる」
「ぜんぜん動いていないんです。まさか・・」
もう、指導員もびっくりで、話を詳しく聞く。

怖くて触っては確認できないといわれるので、もしかしたら見間違えかもしれないし、
夕方アイボンに連れてきてもらって判断します、と答えた。

プールでも楽しんだ夕刻、帰り支度。
「みんな、じつはさっきアイボンの母さんから電話があって・・」

「うそやろ!」「はむっち、死んだん?」「まだわからん!アイボン今から家に帰って
はむっち秘密基地に連れてきて」

アイボンとゴーは自宅へ向かう。ちょびげ(夏休みの学生指導員さんです)と
ヨッシー、マリオ、リードも先に秘密基地に向かう。

残ったナッチ、オーちゃん、シオリン、アズ、ジーコマン、ウユー、ユウも
プールから上がり、秘密基地へ向かう。

秘密基地到着。
ちょびげがはむっちのかごをもっている。マリオがかじり木と何かを包んでもっている。
アイボン、ゴー、ヨッシーが立ち尽くしてる。うそやろ。

「はむっち、どうやったん?」

「死んどった・・・」

はむっちは鼻血をだして、ひからびたように小さくなって、亡くなっていた。
マリオがやさしくくるんでくれていた。

「今うめに行こうって・・」ちょびげがぽつりとつぶやいた横で
ヨッシーが泣いていた。目、真っ赤かにしてぼろぼろ泣いていた。

みんな何もいえなかった。

公園に埋葬にいった。誰も何も言わなかったけど、誰も帰らず公園に向かっていた。

木の根元のあんまり人に触られにくいところを、ユウが掘りはじめた。
はむっちのかじってたかじり木をまず埋めて、きゅうりもいれて、
最後にひまわりの種を一人ずついれて埋葬した。

天国にいくようにみんなでお祈りした。

またヨッシーが泣いていた。またぼろぼろ泣き出した。

冬、12月。みんなでペットショップからハムスターを買ってきて名前を決めた。
ヨッシーの案、はむっちに決まった。仲間が増えた。

週末、ほとんどヨッシーがはむっちを世話してくれていた。
みんなが少し飽きてはむっちを見ない日も必ずヨッシーは見ていた。

もって帰るとき、「はむっち寒いから毛布貸して」っていって
自転車のかごをすっぽり毛布でくるんで
「これでだいじょうぶや!」っていつもにこにこ帰っていたヨッシー。
「こけそうになったら、はむっち守らんと自分を先まもらなあかんでー!」って、指導員は
いつも見送っていた。「いやあ、はむっちを守るー!」ってにやにやしてた。

そんなヨッシーの姿が思い出されて指導員もたまらなくなって一緒に泣いてしまった。

ヨッシーはずっと泣いていた。ヨッシーの涙は、ヨッシーがはむっちに注いだ
愛情のすべてだと思った。たまらなかった。

「また飼おうや」「いや、もうやめよ」「長生きする生き物にしよ」
みんな泣いているヨッシーに色々話し掛ける。
「今日はすぐ決めんとこ。一緒に決めよな、ゆっくり考えて、なっ、ヨッシー」

うなずいてヨッシーは鼻をすすりながら帰っていった。

日も暮れた6時半。ナッチが「はむっちのお墓に行ってくる」とゲン坊をつれていった。
行ってみると、2人でピンク色の花をいっぱい飾って、またお祈りしてくれていた。
ありがとう。

そこに、今日、早退したジャガがやってきた。
今日のいきさつを話す。ジャガも長いこと、はむっちの思い出話につきあってくれた。
はむっちの急死の原因も探ってくれた。

ヨッシーの泣いていた姿を思い出すたびに、つらくなり、
でも、きっと、ヨッシーは成長の糧にしてくれると信じよう。

そして、涙は見せなかったけど、それぞれに帰らず
はむっちを見送ってくれたなかよしのみんなも
ありがとう。5月の骨折の時、何度も病院につれていったもんな。

はむっち、天国でなかよしのこと、ずっとみとってな。
秘密基地でスタートしたなかよしとずっと一緒だったはむっち。

安らかに眠ってください。