晩餐のお支度:

野菜の皮むく子、火をおこす子、お皿を並べる子、あまり何もしない子、文句が多い子、要領のいい子・悪い子・・・

たっぷりの水遊びの後、現場では「え〜!?ご飯つくんのお〜」という雰囲気も流れていた。いや、少なくとも喜々として作るという感じではなかった。

それでも前日にスーパーで仕入れてきたそれぞれの食材を袋から出し始め、ボチボチ机の上に並べだす子ども達。

メニューは、サンドイッチ、カレー、スバゲッテカルボナーラ、ハンバーグなどだ。去年、簡単でうまかったそうめんを選択した班はなかった。

そして当然のごとく各班デザート付き。
缶詰を開けたりするだけなので一番先にできてしまった(笑)。
アイボン班、人参、タマネギ、ジャガイモ、肉などがところ狭しと並んでいる。
「お〜、この班はカレーかあ!」激励する意図で声をかけてみた。
「なんでわかるん? あっ、ルー見たなっ! やめてエ!」とアイボン。

ルー、見んでもわかるってば!(笑)。

ほぼ同時に調理を開始した各班、当然メニューによって進行スピードが違ってくる。サンドイッチとハンバーグを選んだジャガ班、あっという間にできてしまった。

カレー班のカリスマ、タマネギを真っ二つに切るときに鉈を振り下ろすようにカットする。「あぶねー!」アイボンまでもが心配している。オーチャンもそれを見ながらニヤニヤしている。しかし、2つに切ったタマネギをざく切りにしていくときは、ちゃんと「猫の手」になっていて、一同感心。よくわからない子だ(笑)。

煮込みが必要なカレー班2つ。有志が火熾しにいくが、薪が湿気ているせいかなかなか本格的な火が熾きない。うちわで懸命に扇いでみる。が、あまり効果はないようだ。

そこでガスバーナーの登場・・・

青白い炎が20センチくらいの長さで猛烈に吹き出している。それを薪に直接当てて火をつける。しかし、火の勢いは本格的とはいえない。燃材を木炭に変えてみるとようやく火力に勢いがついてきた。あとはひたすら扇ぐだけだ。

何かに取り憑かれたようにうちわを振り下ろす子ども達数名。特にニイヤン、上半身裸で手首のスナップを利用しながらこれでもかっと激しく扇いでいる。火の側はあまりに熱いので、ときおり修行僧のように、バケツに入れた水を頭からかぶる。下は水着なのか、全身びしゃびしゃになってもお構いなしだ! なかなかのワイルドさだ。子ども達の印象にも残っていることだろう。

何十年ぶりかで「青春」という言葉を思い出した(爆)。

水をかぶり、うちわを扇ぎ、また水をかぶる・・・。

「あっそうや、ゴーグル使お!」カリスマがひらめいた。この男、なにかとオリジナルな発想に秀でている。現場の煙が激しく眼にしみるのでそれをゴーグルで防ごうというのだ。ゴーグルを取りに走るカリスマ。

現場は瞬く間にゴーグルをかぶった、見た目変な人間の集団になった(笑)。

うちわの争奪戦、ゴーグルの争奪戦・・・。

ジャガ母から頂いたビールに舌鼓を打ちながらひたすらうちわを振り下ろす。ゴーグルをつけることで確かに煙たさは完全に解消された。

子ども達のほうにも木炭のくべ方やどうすれば火力が強くなるかといった点に関しての工夫が見えてきた。ときおり自分で小枝を集めてきてそれもくべている。来年はもっと手際よくできるだろう。彼には「急成長」という大人にない武器があるのだから。

カレー班2つは他に比べてかなりの遅れをとっていた。

サンドイッチはとっくにできている、ハンバーグもあっという間にカレーを追い抜かした、目前にはカルボナーラを盛りつけているノーブルな班もある。カルボナーラ班では、皆フォークを使い、チビマキなどはお上品にパスタを巻き上げている。スケスケの顔にも「楽でしたわ〜」と書いてある(笑)。うまげなカルボナーラを横目で見ているカレー班、心中穏やかでなかったはずだ(含管理人)。

しかし悲しいかな、カレーのジャガイモ・ニンジンはなかなか煮えない(涙)。腹はドンドン減ってくる。あせる、はらたつ、いらだつ・・・

夜の帳がすっかり降りた頃、ようやくカレーは完成。一同、憔悴(苦笑)。おまけにご飯も焦げてしまったが、ちゃんと最後まで投げずにやり通した。エライ!

カレーは、ガス鍋で作ったのとは違い、とろみがでていたうまかった。

子ども達に調理や味の感想は聞いていないが、思い出に残ったことは間違いないだろう。後日、「にわかクッキングブーム」が発生したとも聞く。子どもにとっての自炊はいろんな意味でいい影響を与えていると思った。

ところで、来年もカレー班はあるのだろうか・・・(笑)。

続く・・・