HP管理人日記(04年9月)


#740 9月いつでもいい「NPB」

 来シーズンの体制がほぼ見えてきた。本当に悲しくなるドタバタ騒ぎである。いつもは強く同意する西村氏のコラムにも、今回の一件に関しては違和感がある。まず、以前にも書いたように狭い日本に12球団という状況が適切でないように思える。北海道、東京、名古屋、大阪、九州、そして四国に各1球団。アメリカのようなヒエラルヒーを構築すれば、もちろんレベルもアップするし、むしろ地域の野球熱は亢進するのではないだろうか。

 選手会がストを行おうとしているのも納得する。しかし、だからといって経営面を軽視する論調には同意できない。「ファンのことを無視するな」と呪文のように繰り返されているが、そんならあなたが資金を出して球団を補助できるのか、という話になる。それができるのは今の日本には一人しかいないようだ。もちろんファンあってのプロ野球。しかし、それは健全経営が大前提だ。

 ストにおける要求内容に球団合併だけでなく、ドラフト制改善などの他の項目を入れたのも良くなかった。これでは本質的な議論は効率的には進むまい。交流試合やウエーバー制の導入など、誰が見ても明らかに良案と思われる事項と今回の騒動の根本となる難題をなぜ同じ土俵で話しあえるものか。

 なんでもかんでもMLBに倣え、と主張しているのではない。その国独自の野球文化があってもいいし、NPBの方が優れている面がどこかにあるのかも知れない。しかし、個人的には、もうどうしようもないくらいに両者の魅力には大差がついてしまっている。怖いのは、潜在的にはそのように思っていても、惰性でなんとなくNPBを支持している人たちの価値観が変質してしまうことだ。これは日本における野球文化、スポーツ文化の退廃へと繋がりうる。

 いま、NPBに必要なのは、五輪で垣間見ることができたような、単純で美しい選手のひたむきさや個性である。単に一流選手ばかり集めたから魅力があったのではなく、「打ち取ってやる」「打ち返してやる」「絶対勝つ」というような野性味があふれ出ていたからこそ人々はテレビに釘付けになっていたのではないだろか。昔のNPBにはその要素があったを思うし、なぜそれが衰退してきたのか。

 組織力は勝つためには不可欠であり、MLBもその例外ではないが、人々が本当に求めているのは、個の輝きではないだろうか。NPBはその点で加速度的に魅力を失ってきているように思える。

 阪急ファンから始まって約30年間、一球団のみを応援してきたが、今回の合併にはなんら抵抗感はない。ただ、芝生が輝くヤフーBBとウサギ小屋のような閉塞感があるドームでは雲泥の差があり、後者がメインに決定されそうな事実だけが至極残念である。