メギ科 BERBERIDACEAE

 イカリソウ属 Epimedium 植物について

岡山県内に自生すると言われているイカリソウ属植物について整理してみました。
 本表中に示す狭義のイカリソウ・ヒメイカリソウについては,岡山県内に分布はありません。

           
  オオバイカイカリソウ
E. setosum Koidz. (1932)

 1930年に,哲西町で採取された標本をもとに,1932年に新種として発表された。
 花序は総状または分枝して円錐状になる。
 花数はやや多いとされ,写真の個体は10数花ある。


 春先の開花・展葉の頃,赤みを帯びた昨年葉が残っている。

 葉は,卵状長楕円形で,鋭頭。縁には多少とも刺状鋸歯がある。

 分布は,岡山(阿哲地域)・広島県の主として石灰岩地であると言われているが,おそらく石灰岩地に限らないと思われる。

 バイカイカリソウとトキワイカリソウの交配によって生じたとする意見もあるというが,白黒つけがたい個体がそれだけ多いということなのであろう。

スズフリイカリソウ
E. × sasakii F. Maek.


 オオバイカとトキワの交配した群
 写真の個体では,花弁の距は全く発達せず,バイカイカリソウの花と何ら違いが無いように見える。
 花弁内の中央にある雌しべを4つの雄しべが取り囲む。

 この個体の花数は5花程度と少な目である。


 写真の個体は,幼時期2出複葉であったものが,成長に伴い全て3出複葉となった。
 葉は,長楕円形で,刺状鋸歯が顕著である。

 2出複葉の幼時期に未開花個体を見ればオオバイカイカリソウを疑い,成熟した個体を未開花時期に見ればトキワイカリソウを疑う葉形である。

 分布は中国地方の主として石灰岩地帯とされるが,それほど限定的では無いと思われる。

トキワイカリソウ(オオイカリソウ)
E. sempervirens Nakai;
E. grandiflorum Morr. subsp. sempervirens (Nakai) Kitamu.
 種名は常緑という意味
つぼみの状態
 淡白色のものは外萼片で,開花時に脱落する。
4枚ある。
開花を下方より
 いかり状の距が特徴的なのは花弁である。花弁は内側と外側に2対づつ計4枚ある。
開花を横方向より
 斜め上方向に展開するのは花弁のように見えるが,内萼片という。これも4枚ある。




 分布は本州中部以西の主として日本海側

 葉は常緑性。
 葉裏面に伏毛,或いは無毛(トキワイカリソウ)
 裏日本要素。
 
  バイカイカリソウ
E. diphillum (Morr. et Decne.) Lodd.

 種名は2枚の葉という意味。和名は梅の花に似ていることによる。
 花弁に距が無く,イカリソウ属植物の中では異端。
 花数はやや少ないとされ,写真の個体では,1花茎に3〜5花程度をついている。




 葉は,ほぼ卵形で鈍頭,最も丸みを帯びた形状をしている。サイズ的にも比較的小さい。刺状鋸歯は無いか,あっても少ない。
 オオバイカイカリソウとの分類のポイントとして,葉の裏面に開出毛があるというが・・・,それほど明瞭なものでもない。

 分布は本州中国地方〜九州の暖帯・温帯

ヒメイカリソウ


 バイカイカリソウとイカリソウの雑種。
イカリソウ(狭義)
E. grandiflorum Morr. var. thunbergianum (Miq.) Nakai
 種名は大きな花という意味
 分布は,北海道・本州中部以東太平洋側で,岡山県には分布しない。
 葉は夏緑性。
 葉裏面に開出毛,或いは無毛(イカリソウ)。
 表日本要素。
 
  花は白色小花で無距 花は白色で距の長さは様々 花は大輪で有距    
  葉の展開は1〜2回2出複葉 葉の展開は2或いは3出複葉,また2出の後,3出することもある。 葉の展開は3出複葉    
           

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