|
LOVE IS HERE 8 「な〜〜んか雰囲気違う・・・・・・」 翌日、部屋仁遊びに来ていた絵理子が、寛子の顔をじぃっと見つめながら呟いた。その言葉に寛子は、一瞬身を引く。 「な・・・・・・何が?」 「何がって言われると困るんだけど・・・・・・なんか違うの」 さすが幼馴染み。そういう所は鋭い・・・・・・かもしれない。 「そ・・・・・・そうかな?」 微妙に視線を逸らしながら、寛子は応える。絵理子は寛子の顔を両手で挟むと、強引に視線を戻した。 「ほら、直ぐ視線そらすし・・・・・・それに」 「それに?」 絵理子はカーテンの向こうに視線を向けた。 「多香ちゃんも、何となく違うんだよね」 「そ・・・・・・そうかな?」 寛子の態度に、絵理子はすかさず突っ込む。 「ほら、すぐドモる」 「ど・・・・・・どもってないってば」 「寛ちゃん・・・・・・」 絵理子は寛子の肩にぽんと手を置くと、ずいっと顔を寄せた。寛子は思わず身を引く。 「あたし達、親友だよね?」 「うん」 「隠し事はなし、だよね?」 「何も隠してないってば!!!」 とうとう寛子は叫んだ。絵理子は、尚不満気な表情をしていたが、諦めたように肩を竦めた。 「・・・・・・そういうんだったら、いいけど。でも・・・・・・もし」 「ん?」 寛子は小首を傾げた。絵理子は俯きながら、ぽつりと告げる。 「もし、多香ちゃんと寛ちゃんが仲良くなったんだったら、あたしは嬉しいんだけどな」 「絵理・・・・・・」 自分と多香子が仲が悪いと知っている人間で、一番心を痛めていたのは、目の前に座る幼馴染みだと、いまさらながら寛子は気付く。 「ごめん・・・・・・絵理ちゃん」 寛子は絵理子に抱きつくと、ぽそっと告げた。 「寛ちゃんは、大切な幼馴染みだし、多香ちゃんは大切なお姉ちゃんだもん。やっぱり、仲良くして欲しいもんね」 寛子の言葉に、絵理子は殊更明るく答えた。その言葉に、寛子はじ〜〜〜んとくる。 「絵理ちゃん・・・・・・」 そんな時、部屋のドアが軽くノックされ、開いた。その音に部屋の中の2人が、その姿勢————抱き合った姿勢である————のまま振り返る。 「あ・・・・・・」 「おかえり、多香ちゃん」 寛子と目が合った瞬間、多香子は耳まで真っ赤になった。同時に寛子も。そんな2人の表情に、絵理子もつられて慌ててしまう。 「あ・・・・・・あの、えと・・・・・・おかえり」 「た・・・・・・ただいま・・・・・・」 ぎこちないが、ちゃんと会話が成り立っている。 一体、この2人に何があったんだろう? 素朴な疑問が、絵理子の頭に浮かぶ。 「来てたんだ、絵理」 寛子から顔をそむけながら、多香子は絵理子に声をかける。 「うん、お邪魔してます」 「え〜〜〜と、あたし、ちょっと出てくるや」 寛子は慌てて立ち上がり、部屋を出てゆく。その背がドアの向こうに消えるのを見届けると、絵理子は多香子の部屋にほてほてと入っていった。 「た〜〜〜かちゃん」 「————なに?」 背後から、多香子の肩に顎を乗せると、絵理子は耳元で囁いた。 「寛ちゃんと、何かあった?」 「な・・・・・・何もないよ!」 ————怪しい。 先程と同じように耳まで真っ赤になりながら、多香子は精一杯否定した。その態度に、ますます絵理子は疑惑を深める。 「あ〜〜〜〜、あ〜〜〜やしい〜〜〜〜」 「もー、やめてよね、絵理子!」 珍しく感情を露にする多香子を見て、何となく昔に戻った気がした。絵理子は思わず顔がほころんでしまう。 「何よ?」 「大好きだよ、多香ちゃん」 いきなり脈絡の無いことを告げながら、絵理子は多香子にきゅうっと抱きついた。 NEXT |