check my heart

〜空が壊れないように〜

4

 

「流石は賢者………騙されてくれるとは思ってはなかったけど」

 そう呟くと、にこりと微笑う。そして、ゆっくりとエリに歩み寄った。

「近寄るなっ!」

 威嚇するエリに、リナは告げた。まるで、犬をあしらう感じで。

「大丈夫………あたしは敵じゃない。ちょっと支えてて、今、『出る』から」

「はっ?」

 次の瞬間、ぐらりとヒトエの身体が傾いだ。

「あわわわわ!」

 慌ててヒトエを抱き留めると、エリは視線を宙に彷徨わせる。そこにいるのは………。

「リナ………」

 成仏したはずじゃ?!いや、確かにしたはずだ。その証拠に、気配なんて、今まで感じられなかった。

 呆然とするエリに、半透明な状態のリナはあっさりと告げた。

「とりあえず、ヒトエをベッドに寝かせて」

 あたし、実体化出来ないし、触ることも出来ないから。

「うん………」

 狐につままれた感じのまま、エリはそっとヒトエの身体を横たえた。それを覗き込みながら、更にリナは告げる。

「あ、あと、ちょっと、首の辺り痛いからさ、回復かけといて」

「————何があったのよ?」

 ヒトエを抱きかかえるように、首筋を支える。その手に念を込めながら、エリは呟く。それに、リナはひょいと肩を竦めた。

「結構、ヒトエって喧嘩っぱやいんだね。それ諫めようとしたら」

 驚いちゃって、その隙に倒されちゃった。

 あっけらかんと告げるリナに、エリは呟いた。

「それは、あなたが声をかけなければこうならなかったんじゃ………」

 エリの呟きを無視して、リナはむぅっと告げる。

「————だってさ、ただの喧嘩にこの剣使おうとしてたから、流石にそれはヤバイなって思ったわけですよ、先代としては」

「ああ、そうなんだ………ってちょっと、あんた、成仏したんじゃなかったの?」

 思わず敬語も何もあったもんんじゃない。その言葉に、リナはひょいと肩を竦めた。

 

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