PLAYZONE2001 "新世紀〜EMOTION〜"

2001.8.15 18:30開演 フェスティバルホール
2001.8.16 13:30開演 フェスティバルホール

水の中からKARE誕生。
起き上がり、膝を抱える。無表情。
ヒトとして生きる術をまだ何も知らない彼は、
四足で所狭しと駆け巡る。

やがて、3人の創造者によって様々なことを教えられる。
火のぬくもり 二足歩行 創造の喜び 花の美しさ
怒り 恐怖 闘争
そして、ヒトを愛するということ

だが、創造者たちがKAREにヒトとして生きる術を教えるという名目で、
結局は自分達の私欲に走り、
KAREが大事にしていた花畑を焼き払ったり、
愛する人を奪ってしまう。

愛する人を奪われたKAREは、
ヒトとして生きる気力を失ってしまう。
創造主の怒りに触れた3人は、その世界を追放される。
聖なる力を失った彼らだったが、この追放を試練と受け止め、
もう一度KAREの元へと戻り、生きる喜びを教えようと立ち上がる。

荒波の中を元いた世界へと向かう3人。
ようやく、KAREの元へたどり着いたが、
KAREの命のともし火は消えかかっている。
聖なる力を取り戻した3人は、
その力を使って再びその火を灯そうとするが、
KAREのため、自分達のため、ヒトのために、
ヒトとしてKAREを救うことを決める。
−−−ヒトとして生きる喜びを忘れるなと。

3人の気持ちが届き、KAREの命は蘇る。
が、KAREとは創造主の仮の姿であり、
彼らを試していたのだという。
KAREの姿をした創造主は言う。
3人の力を合わせて地球という星に、
新しい生命を宿すように、と。
KAREにしたように、新しい生命"プリマヴェラ"に
生きる喜びを教えるように、と。
新世紀の創造者となれ、と。


大野くんが演じるKAREは、誕生した瞬間から赤ちゃんでした。
感情が無いというよりも、大野くんの場合は赤ちゃん。
嫌な事をされた時の泣き叫び。
気に入っているものを取り上げられた時のぐずり。
興味があるものを見つめてる時の少し開いた口。
大事なものが無くなってしまった時の落ち込み。
創造の喜びを知り輝く笑顔。

第1幕ラストは、愛するKANOJOを消されたKAREの悲しみの場なのですが。
KANOJOの幻影と踊る姿がとても悲しい。
そのKANOJOに「さよなら」と言われ、
創造者3人に「意味を教えてくれ」と問う。
何もいえない3人に「教えろ!教えろーーーっ!」と泣き崩れる。
泣き声の演技ではなく、頬を伝う涙。本物の彼の涙。
発する言葉と、動きと、感情と、表情と。
そのすべてがピタリとマッチしていて。
KAREに対して有無を言わせぬ空間でした。

そして、KAREの命の火が再び灯ったことを表すKAREの歌声。
語りかけるような、優しい少し不安げな声。
アカペラで始まった曲に、創造者達の声が重なり、
だんだんと大きくなっていくKAREの声。
決して太くはないけれど、自信に満ち溢れていく声。
1曲の中で徐々に変化していくKARE。
創造主として語り始めたKAREの姿は、堂々としていて、
数分前まで膝を抱えてうつむいていた人と同じとは思えないほど。


去年の大阪のMCは、「MAの芝居が大変で・・・」の話に終始し、
「今年のプレゾンのサブタイトルは『ジャニーズJrを放し飼い』」
とまで錦織さんに言わせた程でした。(それはそれで楽しかったんですけど。
「そんな底辺からよく頑張った」って言葉も貰ってたし。)
で、今年もそういう話が出るのかな?と思ったのですが、
そんな言葉は全くなし。当たり前です。なたりまえです。
だって、素晴らしかったから。

ショータイムがはじまり、
大野くんとMAが幕の前で、少々踊り、決めた時。
彼が客席に向かって叫ぶのです「どうだ!」って。
楽日はね、「どうですか!お客さん!」って。
ものすごい、気合の入りようでね。

千秋楽の日。どれかの曲で。
センターにいた大野くんが白い大きな布の中で植草さんとすれ違う時、
ハイタッチをしていたのが見えて、どどーんと落ちました、私。
本当は客席からは見えないはずの布の中の姿だったので、
先輩後輩の姿を見た気がしました。
「よくがんばったな」って声が聴こえてくるようでした。

途中途中、曲紹介で何度か出てくる大野くんが、
言葉がぐちゃぐちゃになってしまって、照れ笑いする場面もあったのですが、
「嵐の」という冠がついたときは、自分が仕切るってことがあまりない彼だったなぁと、
改めて実感しました。もっと場を踏めばスムーズに話せるようになるんだろうなぁって。


少年隊以外のメンバーの挨拶の時。
振り付けが終わった瞬間、一番奥のセンターにいた大野くん。
目の前は米花くんで。
米花くんは、ポーズの後くるりと振り返って、大野くんとハイタッチ。
上手側から秋山くんが歩いてきて、がっちり握手。
そっから、握手が屋良くん町田くんと続いたと思います、確か。
その間大野くんは満面の笑みを浮かべていて。

三方向への挨拶が終わり、幕が下りるとき彼の目はキラキラと光っていて、
涙で濡れているのはわかったけれど、そこまでかと。
ショータイムの時のMCも結構飛ばしてたし、MAとの笑顔を見てると、
今日は持ちこたえたのかな?と思ったんです。ですが・・・。

幕が上がり、少年隊+大野くんがいて。
下手から植草さん・錦織さん・大野くん・東山さんの順で。
錦織さんが「今日は大野の千秋楽で・・・」みたいな話をはじめた時から、
既に大野くんは鼻をすすっていて、時折服の袖で目をこすっていました。
そして、一言挨拶をと言われ、一歩前に出た彼。
震える両手でマイクを握り締め、なかなか言葉が出てこず、
第一声「とりあえず、本当にどうもありがとうございました」。
何度も何度も涙で言葉を詰まらせ、
袖で顔を覆っては、心を落ち着けようとしているみたいですが、
あふれる涙と感情は止まりません。
「6月からお稽古を始めて、7月14日に本番を向かえ・・・」と
しゃくりあげながら必死に言葉をつなぎます。
彼の心からの叫びは「本当にこの舞台に出ることができてよかったです」だったと思います。
「だめだ・・」とまるで客席から自分を見ないでとばかりに、
手をお客さんのほうへ出して、顔をそむける姿もあり。
何度もぬぐう涙のせいで、袖の色が変わってしまっていました。
やっと少し落ち着いたと判断したのに、いざ声を出すと
あまりのしゃくりあげように、慌ててマイクを外してみたり。


それだけ、頑張ったから。
涙の理由をそんな一言で片付けることはできないし、
それ以上の感情を私が説明したりはできないけれど。
この一ヶ月間、『KARE』を演じきり大役を果し、
少年隊 PLAYZONE2001 EMOTION"新世紀"を戦い抜き、
涙を流した彼をなんだか誇らしく思えたのです。
私は見ているだけだけど。
だけど、なんかすべてひっくるめて「嵐を好きでよかったな」と、
改めて実感した次第です。

こんなにすばらしい!すべてを心に留めておきたいと思っているものでも、
必ず記憶が薄れていく、という私という人間は、
悲しいものだとひどく思ったりもするのです・・・。

家に帰ってパンフレットをめくっていると、ものすごく感情が昂ぶってきて、
涙がとまりませんでした。
特に、PART2の方の、舞台模様を写してあるページを見ていると、
脳内で始まる再演・・・・。
家での方が泣けるな、会場で見ていたときよりも。




めあり