KNOCK OUT Vol6 in shibuya nest
出演アーティスト SOUL STEW cheri Vik イクタ☆アイコ


 今回ロックスタイルの魅力を全出演バンドが存分に発揮する場所、「KNOCK OUT!!」
熱いライヴを体感させてくれる。今夜の「KNOCK OUT!! Vol.6」は、女性ボーカルばかりを4組集結。
しかも今回の出演者は全アーティスト、新人ということで、加熱する一方の女性シンガー前戦に
通用する才能を持ち合わせているのかどうか、今夜はしっかり見届けたいと思う。
 客席もまだまばらな状況下だが、開演予定時間から約10分ほど遅れて今夜のトップバッター「SOUL STEW」が登場。
ギター、ベース、ドラムが刻むリズムに乗せて女性ボーカルがゆっくり歌い始める。
穏やかなムードからサビで一気に駆け抜けていく爽快感。その心地良さは確かに感じたが、それを強烈なインパクト
として受け止めるには至らなかったが曲を追う毎に徐々に本領発揮していくSOUL STEW。
ドラム、ギター、ベース、ボーカル、それぞれをしっかりしたナンバーで自分たちの世界を創り上げていく。
女性ボーカルの声も「鳥になりたい」というフレーズ同様、自由に気持ちよく飛び回り始める。
 MCを挟んで「SOUL STEW」の魅力は徐々にオーディエンスに伝わり始めていく。
なかなかマニアックな曲の展開をするバンドのようで、ほとんどのオーディエンスがSOUL STEW初体験
という状況下では、大いに盛り上がれる感じにはならなかった。
しかし、「ひまわり」という曲に関して言えば、少々ボーカルの力量不足は感じたものの、懸命にその想いと言葉を誰かに
届けようとする姿が好印象で、皆じっくりと聴き入っていた。
ラスト辺りから、ようやくステージ上の4人のテンションも上がり始めとにかく楽しむことを重要視しその結果、
会場の空気を高揚させていった。
 二組目は黄色い衣装を身にまといライトを一身に浴びてアコースティックギターをかき鳴らす彼女の名前は「cheri」。
今回一押しアーティストだ!オープニングから圧倒的な声量とライヴパフォーマンスを披露していく。
歌っている最中の表情も非常に印象的でフレーズひとつひとつに合わせて怪しくも可愛らしくも変化する
その表情は歌の表現方法同様かなり豊か。ほとんど休む間もなく曲は2曲目へ。
激しいバンドサウンドと共にその長いロングヘアーを振り乱すcheri。その手に持つギターとさほどサイズの変わらない
細く小さい体で200%の感情を爆発させながらも、一語一語ハッキリと耳に突き刺さってくる聴き心地の良い歌声。
これはかなり気持ち良い。「神戸から来ました昨日の夜からこのメンバーで車を飛ばしてやって来ましたよ!」と、
息を切らしながらもハイテンションなMCを展開していくcheri、激しいアッパーな曲を披露したオープニングと
うって変わって、3曲目は「赤い鼻の人」という哀愁漂うバラードナンバー。
感情の高鳴りと共に高音域へと突入していく彼女の歌声が痛く聴き手の心に突き刺さっていく。
続いて披露した曲ではイントロから爆音でオーディエンスを圧倒し次の瞬間に穏やかなメロディで会場を包み
また次の瞬間にギター、ベース、ドラムの奏でる爆音と共に上昇していくcheriのテンションでオーディエンスを圧倒していく。
静と動、爆音と静寂を繰り返し、完全にオーディエンスを自分の世界に引きずり込む。
やばいっ!、このアーティスト、すげ〜表現力豊か!これからの彼女に期待大!!!
 続いて披露した曲でも、すっかり満員となった会場中の人々全てに対して、イニシアチブをしっかり握り
会場のテンションを見事にコントロールしていく。体は小さいがこれは大型新人と呼んで良いのではないだろうか?
ラストに披露された「ため息」という8月にリリースされる彼女のメジャーデビューシングルナンバーを聴きながら
彼女が巨大なステージ上で全ての感情をぶつけ
歌い叫ぶ姿を想像した人も少なくなかったはずお見事なライヴであった。
三組目は鍵盤の前にちょこんと座る女の子。そっとピアノの音色を奏でながら、とても優しい歌声を響かせている彼女の名前は
「Viki」。最近泣いていますか?というキャッチコピーと共に、先日メジャーデビューしたばかりの女性シンガーソングライター。
情景の浮かぶリアルな歌詞をオーディエンスと共有していけるように大切に大切に歌う彼女。
シンプルなメロディラインとストレートな言葉だからこそ伝わるものそれを全ての曲で感じさせる彼女は
刺激ばかりを追い求めた音楽が世に氾濫する昨今とても貴重な存在と言える。
特にデビューシングルとなった「ちがうよ」というナンバーはそんな不感症になりつつある僕らの心を見事に掴んだ。
「ちがうよ ちがうよ ぼくは君が好き」そんなストレートでこの上なく切ないフレーズを彼女が連呼する度に僕らの涙腺は緩んでいく。
染みる歌最近ではあまり聞かなくなったそんな言葉を思い出させてくれるライヴであった。
今夜のイベントのトリを務めるのは、現役女子高生で、勉学に励みながら(勉強もめちゃくちゃ良くできるそうだ)
精力的にライヴを行っているシンガーソングライター「イクタ☆アイコ」。
今夜も二人のギタリストを従え、赤と白のキャップ帽にTシャツ姿で歌う彼女。
心地良い二本のアコースティックギターの音色に合わせて、堂々と気持ちよく歌い上げていく。
どこまでも突き抜けていく歌声この要素は今夜出演した女性ボーカルの中でナンバーワン。
 「私は6月4日にメジャーデビューしました!メジャーデビューしてから初のライヴなんですけど皆さん最後まで楽しんでいって下さい!」、そう挨拶した後、キーボードの前に座り、続いての曲をゆったりと歌い始める彼女。
表現力の豊かさではcheriに劣るし涙腺を緩ませられる歌が歌えるか?と言うと、Vikiのような歌は歌えないかもしれないが
ムリなく等身大の自分をストレートに伝えるという点では、他の出演者同様、自身のオリジナリティを発揮していたと言える。
「実際にあったことしか歌にしない」と語る彼女。
そう彼女の一番の魅力はリアルな言葉をピュアな想いに乗せて歌えるということだろう。
そんなイクタ☆アイコの歌声に耳をじっくり傾ける会場中の人々。微笑ましい光景がそこに生まれていた。
 「今から6月4日にリリースしたばかりのデビュー曲を歌いたいと思います」
そう紹介して彼女が心地良いアコースティックギター音色と共に歌い始めた曲は「素顔のままで」。
真っ直ぐな想いを、真っ直ぐな歌声に乗せて真っ直ぐに聴き手に届ける。
おそらく大衆が求めるアーティストとは彼女のような表現者なのであろう。
「素顔のままで」はそんな彼女にピッタリのデビュー曲に感じた。
 「イクタ☆アイコは明日も学校なんですけど・・・」テスト間近なのにも関わらずまだほとんど勉強をしていないことを告白(笑)
そして、『KNOCK OUT!!Vol.6』のオールラストソング「ふたりの季節」を披露。
背伸びせず、今の自分を素直にこの曲でもストレートに歌い上げていく。
今が夜であることを忘れるぐらい明るく幸せな空気が会場を包み込んでいった。


    2003/06/16  jetta

 

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