Type S13 and PS13 ILVIA」


 シルビアが初めて世の中に登場したのは1965年。初代モデル(CSP311型)は、一般の人には手の届かないような 、かなり高級で豪華なクーペだった。ただ、その後シルビアは時代の流れとともに、2代目のS10/S11型、3代目のS110型、4代目のS12型と 進化するに従い、一般的な日産のスポーティカーのうちの一車種として存在し続けてきた。

S13シルビアの登場

 しかし、シルビアはこの後、劇的な変化を遂げることとなった。それが1988年(昭和63年)5月に5代目として登場したS13型だ。 このS13型はそれまでの常識では想像もつかないほど洗練されたスタイルと、先代から受け継がれたFRという駆動方式を持った車だった。

 S13は、まずなんといってもそのスタイルが特徴的。エレガントで流麗なスタイリング、というスタイリング・コンセプトから開発されただけあって、 非常にセンスの良いものだった。基本的な形こそオーソドックスな2ドア・クーペだったが、ラインの使い方と面処理の美しさで、これまでにないスタイリッシュなものに仕上がっていた。 しかも、端正さを持ちながら、走りの良さを予感させるような雰囲気があった。

 そしてそんな美しいボディの中に与えられたインテリアも、魅力的だった。モダンでヒューマンタッチのソフトインテリア、というコンセプトから生まれたもので、サラウンドインテリアと称されたそれは、インパネからコンソールに始まり室内全体までが自然な感じで流れるようにまとめられており、シートも丸みを帯びた新しい感覚のものだった。

 一方のハード面(メカニズム)でもシルビアは卓越した魅力を誇っていた。搭載されたエンジンは、1.8lも直列4気筒DOHC16バルブのCA18型で、NAであるCA18DE型とターボのCA18DET型の2種類が用意されていた。 このCA18ユニットには、NICS(電子制御可変吸気コントロール)やNDIS(電子配電点火システム)、低排圧エキゾーストなどの技術が採用されており、さらにターボは空冷式インタークーラーと、T25型ターボチャージャーによってパワーアップ が図られていた。スペックはNAのCA18DEで最大出力が135馬力、最大トルクが16.2kg・m、ターボのCA18DETで175馬力、23.0kg・mというものだった。このS13はJ’s、Q’s、K’sという3種類のグレードが設定されており、J’sとQ’sにはCA18DE型が、トップグレードのK’sにはCA18DET型が搭載された。

 また、このエンジンとともに走りの良さを支えていたのが足まわりだ。S13では、フロントにマクファーソン・ストラットを採用し、リヤに新開発のマルチリンク式サスペンションを採用したのが特徴。このマルチリンクはダブルリンク方式を採用した他、DARS(ダイアグナルAアームリアサスペンション)システム、 ダブルアッパーリンクなどを用いたことによって、操縦性/安定性ともに高レベルなものを実現した。さらに、日産が熟成を続けてきた独自の4輪操舵システム(HICAS)を進化させたHICAS-Ⅱをオプション設定し、よりスポーティな走りも実現した。

 こんなスペックをもって大人気となったシルビアは、10月にはこの年のグッドデザイン大賞をを受賞。さらには88〜89日本カー・オブ・ザ・イヤーにも輝いた。

 また、90年1月には、K’sとQ’sに装備を充実させた「ダイヤセレクション」を追加設定。そして91年1月にはマイナーチェンジをおこなっている。

マイチェンでSRエンジン搭載に(PS13)

 このマイチェンでは搭載エンジンがこれまでのCA18型から、2l直列4気筒DOHC16バルブのSR20DE型およびSR20DET型に変更、動力性能を向上させている。スペックとしては、SR20DE型が最大出力140馬力、最大トルク18.2kg・m、SR20DET型が205馬力、28.0kg・mとなった。また同時にHICAS-ⅡはスーパーHICASへと進化している。 その他にもフロントグリルを変更したり、3色のボディカラーを追加。インテリアの質感向上やサイドドアビームなど安全性の向上なども行った。

 そしてこのマイチェンによってシルビアはさらに人気をふくらませ、91年8月にはスポーツスペシャルティカー市場において、88年10月以来34ヶ月連続で売り上げトップとなった。また、92年1月には装備/仕様を充実させた「クラブセレクション」をK’sとQ’sに、またQ’sをベースにアルミ、オートエアコンなどの装備/仕様を充実させた「Q’sSC」を追加設定。さらにその4ヶ月後の5月にはQ’sSCをベースに、日産が乗用車生産4000万台突破したことを記念した限定車、「Q’s2(Q’sスクエア)」を発売。同年12月にはQ’sSC、J’sが 廃止され、これに代わって装備を充実させた「オールマイティ」が設定された。こうしてS13は約30万台という国内販売実績を残し、現役を引退した。


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