CA/SR ENGINE


 シルビアがS12からS13になり、爆発的に売れたのは、その美しいデザインからだけではなかった。S12の後期からすでに搭載されていたCA18DETというエンジンは、それ以前のFJ20エンジンに代わるものとして 搭載されたのだが、1800ccツインカム+ターボでネット145psというパワーを見ても分かるとおり、決して魅力的なエンジンとは言えなかった。 しかしS13の誕生とともに、そのエンジンをインタークーラーの装着など各種の改良によってネット175psまで引き上げ、走りに対する要求も十分満たせるようにしたのである。

 S13マイナーチェンジとともに搭載された2000ccのSR20エンジンはCA18を搭載したシルビアがあまりにも売れたために発売が遅れたと言われるほどであったが、CAエンジンで言われていた低速のトルク不足や、最高出力の 不足等の問題点を解決した全く新しいエンジンであった。このSRエンジンの搭載によって、S13シルビアはさらにファンを増やし、フルモデルチェンジされたS14が誕生した後も、高い人気を保つほどの車になったのである。

CA ENGINE

 もともとCAエンジンというのは、排ガス規制が厳しくなってから誕生した計量・コンパクト・低燃費を設計目標にしたエンジンであり、クランクケースもクランクジャーナルの中心部分までしかない、ショートスカートタイプであった。このエンジンをベースに 、ツインカムのヘッドを乗せ。チューンを施したのがCA18DE(T)エンジンである。

 まずブロックについては、SOHCのCAエンジンからの変化を見れば、ブロックにリブが入り、バルクヘッドの肉厚を増やし、クランクキャップにベアリングビームを追加している。またシリンダーヘッドは、直動式のハイドロリックバルブリフターを使うことによって、動弁系の慣性重量を低減し、 バルブクリアランスの無調整化及び騒音の低減も可能にした。さらにインテークポートは、S12の時には細くて長いものと、太くて短いものを並列に配置し、回転数によって切り替える方式をとっており、これによって慣性過給効果による吸気効率の向上を図っていたのだが、S13からはこの方式をやめ、各気筒二個づつある ポートの片側をふさぐことによって流速を速め、燃焼室内にスワールを発生させる方式に改めた。

 他にも、ノックセンサー等の各種センサーの情報から、噴射量や点火時期等を制御するECCS、各スパークプラグごとにイグニッションコイルを配置することによって、高回転まで安定した点火を確保するNDIS等によって、高出力化を確保したのである。

SR ENGINE

 CAエンジンから比べれば、設計の新しいSRエンジンは、アルミのシリンダーブロックに、Y字型のロッカーアームを持つ4バルブのシリンダーヘッドを搭載したエンジンとして誕生している。 鋳鉄製のCAエンジンと違って、軽量化のためにアルミ製のシリンダーブロックが採用されたのだが、そのための強度不足を補うため、クランクキャップのベアリングビームが隠れるほどのディープスカートが与えられた。さらにオイルパンまでアルミ製とし、強度を持たせることによって、シリンダーの剛性不足を補っている。ちなみにオイルパンまでミッションとボルトで固定する方式をとっており、これによって ミッションとの結合の剛性が上がり、静粛性等の面も改善されている。

 シリンダーヘッドは、バルブのはさみ角を小さくしたことによって、燃焼室の表面積を小さくし、燃焼効率を向上させた。また、すでにRBエンジンでいい結果を出している、インテークバルブに向かって徐々にポート面積を絞るAD(エアロダイナミック)ポートを採用することによって流速を確保し、中低速のトルクを確保した。さらに、 インテークポートを立てることによりバルブとの相対角度を小さくし、吸入空気抵抗を減らして高回転にも対応できるようにしたのである。

 他にも、タイミングベルトをシングルチェーンに変更することによって、信頼性や静粛性を上げたり、エキゾーストバルブを金属ナトリウム封入式とし、バルブ温度を下げ充填効率を上げたりしている。


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