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MAINTENANCE-2



ブレーキの清掃、ブレーキパッド交換及びホース交換について。


今回はブレーキキャリパーの清掃について書こうと思います。ブレーキは超重要保安部品ですから、万一の場合は生命に関わる問題が発生する可能性があります。この記載内容をそのまま行ってトラブルが発生しても私は責任を負いません。あくまで参考のつもりで見てください。

ブレーキキャリパー周辺をばらすには、
①パッドピンを外す。
(物によりますが、ニッシンの場合マイナスの蓋を外した中にある5mmのヘキサのピン)
②パッドを外す。
③フォーク(でない場合もあるかも)と共締めしてある12㎜のボルトを外す。
(物によっては㎜のヘキサゴンボルト)
④キャリパーを静かに引き抜く。(このときホイールに当てて傷をつけないように)

外した部品はすべて掃除します。元についていた形を覚えておくのを忘れないで下さい。掃除に使用する工具は、真鍮ブラシと塩ビブラシがベストです。間違ってもワイヤーブラシはダメです。大抵ホームセンターで¥100か¥200程度で売ってます。
真鍮ブラシでキャリパーのピストン、パッドピン、板バネ、等(掃除をする場合ならパッドも)をきれいに磨きます。ピストンの奥側もうまく傷をつけないように磨きます。ブレーキパッドを新品に交換する場合は、ピストンをキャリパーの内側の壁とほぼ面になるくらいまで押し込む必要があるので、そのときにオイルシールを痛めないようにダストを落とすわけです。当然、ピストンの動き自体も良くする意味もあります。
清掃した各パーツの摩擦部分にモリブデングリスもしくは、シリコングリスを塗ります。これは、各パーツがこすれ合って鳴きがでるのを防ぐ役目があるからです。(使用するグリスは耐熱性があるからという理由です)パッドの裏側のピストンが当たる部分、ピンスライドのキャリパーならキャリパー本体に当たる部分、側面の板バネに当たる凸の部分。パッドピン、パッドをホールドする板バネ、金属部分等々。すべて薄くていいです。あまりつけすぎると次の掃除の時にダストがこびりつく原因になりますし、パッド面に流れてしまうと危ないです。

ピストンの掃除の仕方に個人で意見が異なると前述しました。それは、大体次の様な理由からです。ピストンを金属のブラシ等で磨くとピストンに傷がついてしまう。ピストンに傷が付いてしまうと、オイルシールを挟んでフルードが漏れてしまう恐れがある。だから、ピストンを磨く作業はするべきではない。と。

以下は個人的な意見です。上の理由は確かに納得できます。ただ、ピストンにダストがこびりついたまま、キャリパー内に押し込んでしまうと、ダストの分が抵抗になります。その抵抗がオイルシールを痛めてしまうのではないか?真鍮はピストンに傷を付けるほど硬度はないのではないか?今まで何度も自分のバイクのピストンを磨いたことがありますがフルードが漏れたことはありません。等の個人的反論はあります。ただ、この段落は気にしないで下さい。

ダストを落とし、モリブデングリスを塗布した部品を元通りに組み付けてしまえば、ブレーキパッドの交換、キャリパーの掃除は完了です。
ここで、最後のノウハウです。部品を組み付けたキャリパーをフォークに組み付ける際に、そのまま組み付けてボルトを締めるだけではイマイチです。このときにボルトとボルト穴の間に微妙なクリアランス(ガタ)があります。
それを取らずに締め付けてしまうと何度も激しいブレーキングを行う場合にボルトが緩んでくる恐れがあります。それを防ぐには、キャリパーをディスク板の回転方向に押しつけてガタを取った状態でボルトを締め付けるという方法があります。これで何度も激しいブレーキングを行ってもキャリパーとフォークの間にはガタがないので、キャリパーを締め付けているボルトが緩んでくる心配がないというわけです。

ブレーキホースの交換、ブレーキフルードの交換について一言。フルードの量に注意することです。新品のパッドを同時に交換するのならば、問題ないですが、大体の場合はある程度使用したパッドであることが多いでしょう。
このとき、フルードの量を規定値上限ギリギリに入れてしまうとパッドが減っている分ピストンが出ているので、当然、量が多い状態になります。そして、次にパッドを交換する際にフルードが溢れてしまう、あるいは、ピストンがもどらなくて新しいパッドが入らない等の問題点が発生する原因になります。
プロのメカニックは、フルードの量を決定するときに、必ずキャリパーを覗いてパッドの残量を確かめ、そのメカニック独自の経験から来る勘を駆使してフルードの量を決定します。ただ、それは難しいのでホース、フルードを交換するときはできればパッドも一緒にした方が後々楽です。と、いうわけです。

  最後にもう一つ、Rブレーキをフローティングさせた車両のエア抜きは注意が必要です。もともと、ノーマルでフローティングさせている機種は、Rキャリパーのブリーダーボルトが上側についてますので、普通にエア抜きできます。
しかし、例えば忍者のRブレーキをノーマルキャリパーのままフローティングさせる場合、ノーマルキャリパーのブリーダーボルトは上についてますが、フローティングさせて180°回転させると、ブリーダーボルトは下になります。こうなると何回エア抜を行ってもエアは抜けません。
この場合は、キャリパー本体をいったん外して、パッドとパッドの間に堅い物を挟みブリーダーボルトを上に向けてエア抜きの作業を行います。結構、これではまる人多いんですよ。実際コウヘイもはまったことあります。


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