僕はブエノスアイレスの歓声の中に 群衆の中にいた

やがてその女性の死によって 歓声は止んだ

そこに一つの閑静が生まれて 僕は群集の中にいた

つかの間の閑静が やがて国を二つに別けた

そこに二つの大きな喚声が巻き起こって

僕は群集に留まって やがて傍観者となる

その女性はやがて乾性の人形となって 時間の中をさまよう

やがて喚声は止んで 一つの歓声が巻き上がる

そして今ではその女性も静かに眠る

閑静の中で 今でもその美しさを保ちながら

人が手掛けた時間の中に 完成なんてないのかもしれない

人という生き物は慣性な動物で

一つを求めるために 一つを失う

一つを失って また一つを求めるのだろう

感性なんてとても薄くて 

それが似合う僕達は きっと素敵なんだろう




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