「波」
 
 
 
少年と呼ばれていた頃 あんなに無邪気に笑っていたって知らなかった
 
とても小さな潮の香りのするこのベランダで 僕は笑った
 
ひどく疲れを知らないで 太陽は相変わらず高く僕を照りつける
 
砂辺の貝殻はひどく痛く 波は飛沫を上げてあんなに強い
 
溺死を期待する傍観者の中で 誰かが笑ってみせる
 
その期待を裏切って 少女は救出された
 
波に乗ることは簡単な事じゃない
 
僕はありったけの欲望を持って その波に言葉を掛ける
 
一飛沫 僕の心に散りばんで 少年の心を救って欲しい
 
どれだけ高く舞い上がる事ができても それを完璧と呼ばないで欲しい
 
いつしか人々は去って 夕暮れ時にこの潮水は低く静かに波と言う君を放つだろう
 
それでも僕にそれらを感じさせてくれた君に 僕は感謝する
 
僕はずっと待ちつづけていただろう 笑顔をこの手に掴む
 
少年と呼ばれていたあの頃 あんなに無邪気に笑っていたって知らなかった
 
この波に揺られるまでは、、、、、、











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