「誓い」
 
 
ふるさとに足を踏み入れるに連れて
 
少しづつ君を思い出す
 
近く君の顔 何度も僕の中に響いて 
 
白い雪が降るはずだったあの日
 
僕は君に何故さよならを言ったんだろう
 
君はあんなに泣きじゃくっていたのに
 
シルバーの指輪を見ている時も
 
一人カフェテラスに座っている時も
 
いつしか君の事をまた想うようになって
 
君はもう煙草を吸うのをやめたかい
 
まだ自虐的な言葉で詩を書いているのかい
 
僕は長い旅を経て ふるさとに赴く
 
そして少しづつまた実感が沸いてくると
 
自然で居た頃の僕達がそこに居て
 
笑っているのか泣いているのか
 
その時間は少しずつ翳って行って
 
あと少し僕が君に手を伸ばしていたら
 
二人は今も堅くそれを繋いでいたかな
 
君が僕を思い出すと言って買ったあの香水
 
また僕もそれを買ってそしてそれを香る
 
やっぱり僕も思い出すよ 若い自分を
 
異国の地で受け取ったたくさんの君からの便り
 
それをカバンの中で捨てきれずにいて
 
僕はやっぱり思い出をたくさん詰めて
 
君と出会ったこのふるさとに環る
 
二人で始めた擬似的な暮らし
 
授かるだろう宿るだろうもの
 
家具の存在感 キッチンの体温
 
シーツは月明かりに照らされて 青く光って
 
安っぽくて壊れやすいもの そればかりが理想
 
僕はもうすぐふるさとに 眠り夢を見る
 
君は今どんな夢を見る
 
 





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