駐車場の入り口 鳥が動けなくて 横に黒いカラスがいた
 
車から100メートルほどをとりあえず走った 
 
そこに戻ってみると 青いワンボックスの車がやって来て
 
その鳥は逃げようとしたんだけれど 羽ばたこうとしたんだけれど
 
僕の目の前で 車に轢かれたんだ
 
そしてその車を睨み付けたって もう遅いんだ
 
僕はその鳥を抱きかかえると ペットショップまで走った
 
まだ心臓が脈打つその小さな生き物は 必死に目を開けて 
 
泣いてなんかいなかったけど 何か言おうとしてて
 
きっと叫んだってこの痛みはどうしようもなくて
 
首をしたに下げると 怖くなって 体が震えてきて その震えが止まらなくて
 
鳥を手の平から落とした 拾い上げて 悲しくなって
 
それでもペットショップまで走って ネオンが消えているのに絶望を覚え
 
アスファルトの上に鳥を置くと それでも必死に羽を広げようとして
 
カラスに蝕られたその肉片が妙にリアルで 赤く光って
 
震えが止まらないその体は ただの臆病者で
 
死に逝く者をただ黙ってみている時の人間は残酷で自然で
 
遠くの方で乾いた笑いを見せる若者達が嫌いになって
 
自然の循環なんてこんなものだと諦めてみたりして
 
それでも排気ガスを立てなかったら この鳥が死ぬことはなかったのに
 
何故か自分の非力さが 悲しい今日だった
 
その鳥をくさむらに置き去りにして
 
食事をしに行くために 車に乗りこんで エンジンを回した
 
僕はもう震える事なく ハンドルを握り 排気ガスを立てる












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