「小刻み」
 
さっきから僕があるだけの感情を持ち出して詩を書いているのにもかかわらず
 
僕の斜め前の男が小刻みに足を震わせている
 
’誰かそいつを止めてくれ’
 
僕はずっと感じていた その言葉を誰も言ってはくれない
 
当たり前だが誰にそんな権利があるだろうか
 
もちろん 僕には少しもそんなもんはない
 
しかし今は公の場だ 平等であってもいいはず
 
僕はこの場から立ち去る事ができない
 
何故ならここは小さな一つの教室だから
 
つまり今は授業中 前の方で誰かが必死になって話しをしている
 
その人はその部屋で一番偉い人で 僕達は従う義務がある
 
それでも僕は詩を書いている いけないことだ
 
その人から言わせればきっと 他人に迷惑を掛けている足を震わせている人より
 
他人になんの迷惑を掛けていない僕を叱るだろう
 
何か間違っていないだろうか
 
さっきから僕があるだけの感情を持ち出して詩を書いているのにもかかわらず
 
僕の斜め前の男が小刻みに足を震わせている
 
 
 




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