川沿いの石畳の上を自転車で走っていく 息を切らしながら

工事現場の砂煙 橋の袂でクラクションが鳴る 

あの橋に歩道ができると言って もうかなり経つ

反対側を目指せばいいんだ あそこなら静かになれる

その橋の下に 僕達の秘密基地

橋の上のコンクリート 自転車で息を切らしながら

今にもぶつかりそうな車との距離をさらに詰めて

そこについた頃には 汗で体が濡れていた

その奥を目指そうと 僕達はさらに進んでいく

自転車を放り投げて 神社の横道を

夜になればこの神社には お化けが出る

さらにその奥に進めば 古い小屋が立っている

ガラクタや思い出をそこに集めて 古い小屋は立っている

工事現場の砂煙 もうそこに小屋なんて影もない

あの神社はなくなって お化けなんてもういないだろう

僕達の秘密基地は ガラクタと思い出を集めて 

この橋に歩道ができても 誰かのクラクションはやまない

僕の車の横で少年が 川沿いのアスファルトの上を 

自転車で走っていく 息を切らしながら 


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