陽が傾き 陽が落ちかける頃 僕はこの空に青を見つける

長い影 家路に向かう人並みの中 僕は空を見上げた

小さな電車が揺れる音 踏み切りの向こう側

雑踏に紛れた足音 それすら清閑に変わって

アスファルトの硬い粉 きらきら光りながら

僕の耳に飛び込んできた 自転車のブレーキ音

驚いた胸にこだまして 誰かの悲鳴に間違える

もう忘れたはずの彼女の顔 ふと脳裏に飛びこむ

それも時間の中で 何も無いように消化されて行く

踏み切りのシグナル音 赤い点滅がいじらしい

僕を待つところへ 帰る場所へ 息を切らしながら

人並みに紛れて 僕も家路へ向かう

その中で空を見上げて 夕日を映す青い空を見上げた

通い慣れたこの道で 踏み切り音を聞きながら



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