「花束」
 
彼が置き忘れていった 定期入れを手にした女が 二人共笑顔でいる 写真を眺めている
これからすぐに部屋を出る そう言い残した彼が サイレンの音と消えるなんて 約束しなかった
 
思い思いに過ごす 思い出に笑われる 開け放されたこの部屋に 花束だけが残る
 
彼女が置き忘れていった 日記を開いた男が 二日で白紙に戻る 日付を眺めてる
男は呼びとめたタクシーを 追いたげに見つめている だけど彼女が行きつくところに 彼女はいなかった
 
思い思いに過ごす 思い出に笑われる 行きつくはずのこの部屋に 花束だけが残る
 
俺が置き忘れていった 思い出を今誰が持ってる 失くした物の理由と 失くされた物の理由
 
素知らぬ振りをしている 気付かない振りをする この街に添えられている 花束の意味なんて
 
思い思いに過ごす 思い出に笑われる 今も理由が見つからず 俺も花束になった
 
思い思いに過ごす 思い出に笑われる 狭すぎても逃げ出せない街に 花束だけが残る













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