「退屈な日常から」
 
恋愛小説の様に新聞を読み続け 僕は一人で深いため息をついた
君の名前がどこかに載っているんじゃないかって 仕方の無い迷い子探しの様に読んでいた
 
素晴らしく残酷な事件ばかりが並んで 一人の少女が少年達に犯かされた
それが君じゃないって知っているつもりで 本当は泣きたくないくらい退屈だった
 
次の日薬の食い過ぎで病院に行って 君の名前のついた病室を見つけた
君は壊れたラジオのような声と顔で 自分犯されたことを僕に打ち明けた
 
二人の暮らしがそこにあって 僕達はそれに少し飽き疲れていた
君が誰かに傷つけられて 僕一人の退屈は少し晴らされた
 
君が悲劇のヒロインになって少し経って 君はますます頭がおかしくなった
痩せた体が妙に愛しく思えて 悲しいけれどいつも現実だった
 
遺書も何も無い所から君は飛び降りて コンクリートの上で何もかもが飛び散った
自殺した人間が弱いんじゃなくて 人間が弱い生き物なんだ
 
二人の暮らしがそこにあって 僕達はそれに少し飽き疲れていた
君が真っ赤に飛び散って 僕一人の退屈は晴らされた
 
戦いは君の完全なる勝利で 僕はただの傍観者でしかなかった
どっちが笑って退屈が凌げるかって このゲームに君は勝利したんだ
 
君はもう動かなくなってしまったけど 次のゲームはもう始まっているんだ
僕はこれから新しい恋人を見つけ そこで新しい暮らしが始まるんだ








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