「週末」
 
この街の信号機のない交差点のような一人 仲間が騒いで消えていったバイクの音も遠ざかる
少し疲れただけだよって街灯にもたれて 腹を抱えて黙ったまんまタバコをふかす
 
あいつが運び込まれた病院の片隅で 座っていた隣の電話の受話器が俺を呼んでいるようだ
ただ暗い病院は時間の流れを止めているようで 一秒が長く自分の事を忘れたくなる
 
静かで遠い廊下の下でうずくまっている 意地を張り合っていたのは
お前ただ一人だけ 俺はいつも心のどこかで許していた
 
あいつの愛していたバイクは無傷だったけど どうしてあいつはこんな風に無傷でいられないんだ
冷めていくコーヒーを残しボックスの扉を蹴り あいつの女にためらいながら電話を掛ける
 
週末には悲しい悲しい冷めた雨が降ってきた 雨の音だけが聞こえ他は何も聞こえない
飛びこんできたタクシーの陰から涙を流しながら あいつは大丈夫、大丈夫って俺に問い掛ける
 
雨のしずくの中で俺も涙を流す 意地を張り合っていたのは
お前ただ一人だけ 俺はいつも心のどこかで許していた
 
お前も俺もこの世の中には悔いが残っているだろう まだまだやらなければならない事がお前を待っている
花束は白や黄色より赤が良かっただろう 寂しくなるぜアスファルトに刻んだお前と俺のあの頃
 
この街の信号機のないこの道で 俺はアクセルをふかしお前に向かって走る
週末のさよならだけは俺は許しはしない 意地を張り合っていたのはお前ただ一人だけ
俺はいつも心のどこかで許していた 俺はいつも心のどこかで許していた
 
 





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