「期待」
それが僕であるという確証など何処にもない 今見ているもの
鍵盤のないピアノはもう楽器とは呼べず 僕だけがそう思っていても
誰かはきっと僕のことを気が触れているだけだと言う
悲しくても そこから音を奏でたのは僕だけなのだから 笑われたって仕方ない
僕の記憶の中にだけ生き続ける音は果たしていつ死ぬのだろうか
その終わりは形式にとらわれた 五線譜の最後の様にあっさりしているのだろうか
僕だけが僕の事をピアノと呼べる 人は何故こんなにも自虐的で弱いのか
これで何枚目だろう 僕がこうして最後の手紙を書くのは
結局 人は死ぬと言う事に対して 理想と憧れしか抱かない
僕はもう音の出せない忘れ去られた孤独なピアノだ
この想像力は何の為 これじゃ死に急いでも仕方ないよ
ねぇ 誰か奏でてよ その細くて素敵な白い指先で
僕の期待を裏切らないように、、、、、、