中公文庫、全8巻、各544円+税、コミック版。
人びとと自然と、そして善のものと魔のものとが、混沌とした時代のものがたり。
各々の心の闇に巣くう、魔のものから、人びとを救うがために宿命づけられた、ひとりの王子ティオキアの数奇な運命を描いた長篇ファンタジーである。
ティオキアはもちろんのこと、ルキシュ王、王妃フレイア、騎士アスナベル、カウス・レーゼンなどなど、脇役もしっかり描かれておりそれぞれがとても魅力的だ。
魔のものから人びとを救うことを宿命づけられ、自らの中に、魔王とティオキアとが同時に存在する中で、やさしく気高い王子ティオキアの選んだ結末とは…。
最後の最後まで、どう戦っていくのか、ファンタジーといはいえど、完成度の高い作品である。