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ちくま文庫、540円。
「とある日曜日、源一郎さんがおもしろいところへつれて行ってあげようと言い出した。(本文より)
この一言がきっかけで、直子夫人は競馬の国に足を踏み入れたのだった。
このシーンは、我が家の場合ととてもよく似ている。
それまで「競馬」の「ケ」の字も知らなかった私は、新婚時代に夫から「おもしろいものを見せてあげよう。赤とピンクの帽子を見ててごらん」と言われ、たった2分あまりの間、TVの小さな画面の中を、一生懸命走る数頭の馬たちを見たのが最初だったのだ。
それは、夫の「とった!」という興奮した声と、それは世にも美しい生き物であるサラブレッドに魅了され、まるで魔法でもかけられたかのように、不思議な余韻が心の中に満たされた瞬間でもあったといえる。
その日から、私は美しい馬たちの虜になってしまったのだ。
この本には、そういった「競馬オンチが、競馬好きになっていく第一歩」や、ギャンブルといった範疇におさまりきれない・・・まったく別な形の競馬の楽しみ方がいっぱいつまっている。
かくいう私の楽しみ方も、実に直子夫人のそれと、とてもよく似ていたのである。
レースに勝った負けた(これも大切なことです!モチロン)より、出走馬が全馬無事にゴールまで走りぬくことや、カワイイとかハンサムで応援しちゃうというスタイルがそれである。
競馬にも、こんな楽しみ方や応援があっても、いいね!と、素直に思える1冊。