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朝日文芸文庫、600円。
塩野七生女史が描く、ルネサンス衰退時期の都市3部作の第1作。
(以下、「銀色のフィレンツェ」、「黄金のローマ」と続く)
16世紀前半、地中海の女王と称えられた海の都ヴェネツィアは、新興勢力のトルコ・スペイン、神聖ローマ帝国の3強大国に挟撃され、国家滅亡の危機に瀕していた。
国難に立ち向かう若き貴族マルコ・ダンドロだが、果たして・・・。
さらに国家元首(ドージェ)の庶子であり、マルコの親友でもあるアルヴィーゼの秘められた野心と恋の行方が事件をよんでいく。
ヴェネツィアの名門貴族、ダンドロ家の若き代表マルコ・ダンドロ。
彼の愛人にして、謎めいたローマの遊女でもある美貌のオリンピア。
この2人を軸にルネサンス時代の代表都市、ヴェネツィア〜フィレンツェ〜ローマを舞台に繰り広げられる、歴史ミステリー。
この作品を手にし、3部作を全て読み終えた頃には、ルネサンス時代のイタリアへ、想いを馳せてしまう覚悟が必要かも。
塩野女史の作品は、読者を「イタリア」のとりこにしてしまう魅力に満ちている。
新潮文庫、440円。
東ローマ帝国(あるいはビザンチン帝国)の首都として、実に1123年間もの長きにわたって栄えたコンスタンティノープル。
独自の文化を誇り、地中海の中心首都としても繁栄を誇っていたが、オスマン・トルコの若き皇帝マホメッド二世の攻撃の前についにその最後の時を迎えることになった。
地中海世界に君臨した一首都をめぐる攻防は、ひいてはキリスト教世界とイスラム教世界との激しい覇権戦争でもあった。
滅びゆく首都を支える人々、波に乗り押し寄せるトルコ軍・・・両者の戦いを膨大な資料を駆使して、精緻に描いた歴史小説。