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幻冬舎、上下2巻、各1700円、長編ミステリー。
美しい北海道・絵笛の町は豊かな大自然に囲まれた小さな馬産地だった。
その地で、将来を誓い合った若者たち—柏木圭一と寺島亜木子—だったが、やがて亜木子の裏切りにより、別れてしまう。
さらに圭一の父は、亜木子の父に、家業の牧場を騙し取られ、非業の死を遂げてしまう。
孤独と絶望だけを抱え、19歳の夏に絵笛の地を後にし上京した柏木圭一は、復讐を固く心に誓う。
やがて26年の歳月を経て、いつしか圭一は政財界注目の若き実業家となり、時機到来と復讐を実行に移すのだが・・・。
その頃、元強盗殺人犯・及川広美が何者かによって刺殺された。
彼の更生を固く信じていた、定年間近の刑事・桑田規夫は、弔いを誓い、志願して捜査を開始したが、その最中にまたも不可解な第2の殺人事件が発生する。
復讐のシナリオを描く、圭一のもとに誰ともわからない人間からの脅迫状が舞い込むようになり、背後に不気味な影が音もなく忍び寄っていく。
圭一の復讐を縦糸に、連続殺人事件解明に残りの刑事人生全てを賭けた桑田の執念を横糸に、丹念に、しかも叙情的に描かれたミステリー。(2001.10.8)