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葉文館出版、1200円。
大阪生まれの、関西弁がしゃべれるアナウンサーが著者の本業。
1980年紀行番組『明日香風吹く万葉の里』で、NHKアナウンサーとして初めて関西弁による全国放送を行ったと、プロフィールでは紹介されている。
日本が明治維新後、国策として『富国強兵』を推進してきた結果、長い年月をかけて生まれた地方の風土と人間に裏打ちされた、豊かな言葉—方言—が失われ、日本全国どこに行っても同じような景色が広がり、画一化されてきているように思えて仕方ない。
言葉は文化であり、こういった地方語を見直すことが、すなわち自分たちの生き方をさえ、見つめるきっかけになるのではないか、と著者は訴えている。
大阪で生まれ、標準語を基本とするアナウンサーの世界の中で、大阪弁にこだわり、ひいては独自の解釈で、大阪人の生き方を探っていこうという試みが成されている1冊である。
今から300年以上も前に、日本の近代資本主義の黎明期に成立した大阪弁・・・西鶴も近松も使った大阪弁。
大阪弁の、大阪弁でしか、表現でき得ない、独特の世界に、思わず納得。(2001.10.4)