書名&たまえもん度★をクリックすると「たまえもん書評」が表示されます
講談社、1400円。
すごい人である。
小説やドラマよりも、もっとすごい半生である。
でも一番感銘を受けたのは、著者自身の「今」である。
中学2年のとき、転校した学校でいじめを受け、自殺を図る。
その後、坂道を転げ落ちるかのように、非行に走り、ついには16才で暴力団の組長の妻、『極妻』にまでなり、若い自分を認めて欲しいがために、背中に刺青まで入れてしまう。
その間、もちろん外の世界でだけでなく家庭内暴力も嵐のように吹き荒れていった。
荒廃した日々・・・身も心もボロボロになりながらも、いつも求めていたのは『自分の居場所』だった。
しかし、結局そこにも自分の居場所はなかったのであった。
何もかも嫌気がさして、暴力団組長の夫とも離婚し、酒浸りの自暴自棄の日々を送る毎日。
そんなある日、偶然にも、父の友人の大平浩三郎さんと再会する。
この出会いが、著者にとって大きな転機となっていく・・・。
現在は少年犯罪を担当する弁護士として活躍する著者の、自らの半生を綴った1冊。
身震いするほどのすごさ・・・なのに、現在の著者の写真は何と素晴らしい表情なのだろう、と心底思う。
まるで、すべてを静かに受けとめる湖のような静謐さ、すべてを浄化する水のような美しさをたたえている。
文体も読みやすく、漢字もすべてフリガナがふってある。
子供といっしょに、是非読みたい1冊。