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集英社文庫、340円。
本のタイトルは猫の名前「トラちゃん」だが、このエッセイの中には人間と仲良しの動物たちが総出演している。
金魚も犬も小鳥もネズミも、もちろん猫だっている。
群さんとその家族が可愛がってきた動物たちの、ときにはおかしく、ときにはほろ苦く、感情豊かな表情を生き生きと感じさせられる。
ペットを飼っていると、「飼っている」という感覚よりも、「一緒に住んでいる家族」的な意識になりがちだが、まさしくこのエッセイは、そんな生活ぶりがうかがえる1冊である。
中でも、弟の金魚のよしこちゃんの話しは、ついつい笑いすぎてしまって、あとで大慌てでパックをしたといういわくつき。
幻冬舎、1300円、短編連作集。
物書きのヒロコ、ヘアメイクアップアーティストのミユキ、イラストレーターのマキコという、いずれも独身の女性が織りなす悲喜こもごもの連作短編集。
39歳、41歳、44歳と、ちょうど仕事にも脂がのってきている年代の女性たちが、TVゲームや運転免許、ショッピングといった日常視点から、将来の不安といった問題にいたるまで、軽妙な文体で綴られている。
筑摩書房、1300円。
トンキニーズは、シャム猫の顔をまん丸くしたような、性格も人なつこいかわいい猫種である。
以前たまたま見に行った「世界ネコ展」でも、ゲージから出して希望者に抱かせてくれたが、初対面でもすっかり安心したようにじっと抱かれて甘えちゃう、そんな猫である。
群さんのお隣で飼われているのが、この甘えん坊のトンキニーズのビー。
ビーはもちろんのこと、彼を取り巻く人々との交流、ビー以外のノラ猫達にもあたたかい視線が注がれる、心軽やかになるエッセイ。
坂崎氏のイラストにも、思わず心がなごむ。