新人物往来社、1942円+税。
副題にあるように近藤勇、土方歳三、沖田総司の三者を中心に描かれた歴史小説。
主人公は、近藤勇。
江戸で浪士募集を聞いた試衛館の仲間たちと、武士を夢見て京都へ向かう場面から、板橋宿で斬首されるところまでを描いている。
著者のあとがきでは、沖田や土方は新選組を舞台に例えれば、いつもライトがあたっているのに、近藤勇は常に舞台に登場しているにもかかわらずライトのあたらない高い場所にただ座っているだけの存在に思える。
しかも享年35才だったにもかかわらず、イメージ的に青年ではなく、重厚で分別くさい中年武士のイメージが定着しているように思える。
そんな近藤勇像払拭し、年齢相応の若者として描きたかったものが、本書である。
狙いとしては、2004年NHK大河ドラマ「新選組」と同様に思えるのだが・・・。
本書の率直な感想としては、平板で淡々としており、私的には物足りなさが残ってしまった。(1994年4月30日初版発行)