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祥伝社黄金文庫、619円+税。
京都市伏見区にある、醍醐寺。
寺域の広さと伽藍の多さは洛南随一ともいわれており、世界文化遺産にも登録されているお寺である。正式には「真言宗醍醐派総本山醍醐寺」という。
ここは太閤秀吉が、豪華絢爛たる「醍醐の花見」を開いた寺として、あまりにも名高い。
慶長3年(1598年)3月15日、秀吉は北政所おねをはじめ、淀殿、秀頼、前田利家夫妻などなど、総勢3千人を招いて、豪奢で贅の限りを尽くした花見の宴を催した。
日本史上屈指の一大イベントともいえる、この催しは、同時に多くの謎をはらんでいる。
なぜ醍醐寺で催したのか?
なぜ有力大名の中では、前田利家だけしか招待されなかったのか?
なぜ秀吉の死の直前に行ったのか?
数々の謎を醍醐寺に残された貴重な古文書を基に解明していこうと意欲的に取り組んだのが本書である。
同時に、この日だけは太陽が西に沈まないで欲しいと願ったほどの夢の世界に出席した者たちの、—明と暗を分けた人生—その後をも追いかけていく。
巻末には重文の「醍醐花見短籍(だいごはなみたんざく)」131葉も完全収録されている。