書名&たまえもん度★をクリックすると「たまえもん書評」が表示されます
光文社、上下2巻、各1400円、長編。
六人兄弟の末っ子で、社長令嬢でもある田沼佐和子は、ごく平凡な生活を送る、二十五歳の女性だった。
だが、両親が勧めた見合いで結婚した相手と、結局一年で破局となってしまう。
別れ際に、離婚した夫が言った言葉——どこも悪いところはないが、いいところも全然ない。女としても、人間としても魅力がない——が、心の奥底に深く突き刺さり、傷ついてしまう。
そんな失意の底にある佐和子は、ある日、亡くなった祖父からの遺言の品である、日記帳のことを思い出す。
今でこそ、『田沼商事』として、大きく発展しているが、第二次世界大戦前のつかのま平和な時期であったヨーロッパへ単身船で渡り、苦労しながら、現在の礎を残した祖父の記録でもある。
その日記帳を読み進んでいくうちに、佐和子は祖父の重大な秘密に直面し、真相を探るために、ヨーロッパへと旅立つのだが・・・。
佐和子の人生への模索を横糸に、祖父の過去を縦糸に描かれた長編。
しかしながら・・・完全な私見だが・・・ともすると、宮本氏の描く女性像に、物足りなさと反発を感じてしまうことが多いのは、何故なんだろう!?