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新潮文庫、上下巻、各680円、長編。
世界のメディア業界を制覇し、頂点に君臨するのは果たしてどちらなのか—!?
宿命のライバルともいえる、アームストロングとタウンゼンドの息詰まる戦いを描いた作品。
アームストロングは、チェコスロバキアの貧しいユダヤ人の家に生まれ、死刑を迫られたナチ収容所から決死の脱走を計り、英国に密航し、イギリス軍に入隊する。
数々の武勲を打ちたて、戦後は生来の語学の才と商才を武器に、ほとんど詐欺的手段で新聞事業に着手していく。
一方、タウンゼンドは、オーストラリアに生まれオクスフォード大学を卒業後、父親から新聞社を受け継いだ。
しかしながら父親の新聞社は、人手に渡る寸前であり、半年で成功させなければ買収・・・という、期限つきのものだった。
タウンゼンドは編集方針をガラリと変え、大衆受けの新聞へと大きく転換・・・その作戦が見事に的中し、大成功をおさめていく。
新聞事業の『第一歩』を記した両者は、その後とどまるところを知らぬ勢いで、メディア企業の買収を次々と繰り広げ、やがて世界の頂点に立つための戦いが始まっていくのだが・・・。
作者自ら、ファクト80%、フィクション20%と公言している本作品は、メディア界の有名な二人の人物をモデルに描いたもの。
世界のメディア界を支配するのは、一体どちらなのか・・・最後まで息をつかせぬ、スリリングな展開が楽しめる。