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講談社、1700円。
年老いた猫をやさしく、切なく見つめる筆者の視線が痛々しいほど伝わってくる。
生あるものは、やがて老いて朽ちていくすべにあるが、その一瞬の命のきらめきを、繊細なレース模様のような描写で綴られている。
今や、ペットは家族の一員ともいうべき存在だが、さらにそれを1歩越え、まるで自分自身の分身のような猫との、生ある日々の最後が静かに語られる。
心の奥底にシンと降り積もる、そんな作品。
河出書房新社、1400円。
「猫に満ちる日」の姉妹編。
前著では、猫と著者との最後の瞬間が濃密な筆致で描かれていたが、今回は飼い猫のミーがいなくなってから1年半後に書き下ろした作品。
思い出の中に、いつまでも変わらぬ姿で生きつづけるミーの姿を、飼いはじめた頃から、お別れするまでの20年間を淡々とした筆致で振りかえっている。
ときには切なく、ときに哀しく、そして限りなくやさしい思い出に包まれた1冊。