書名&たまえもん度★をクリックすると「たまえもん書評」が表示されます
講談社、1700円。池波氏の未刊行エッセイ集で45篇を収録。
これまで全く本になっていない、エッセイや短文など、昭和31年から平成1年に至る34年間で雑誌、新聞、PR誌、同人誌、プログラムなどに掲載されたものばかり250余編を発表順に5冊の本に収めたものの第一弾である。
各エッセイの末尾に、初出紙誌名・刊行年月日などが記されている。
本書では、昭和31年〜42年までのものが収録されており、内容的にはかなり古いのだが、池波氏が都税務職員を退職し、やがて筆1本で食べていこうとしていた頃から、6回目の候補作で直木賞を受賞した頃までの日々感じたこと、追想したこと、経験談などなどが中心である。
池波氏は小学校卒業後、株式仲買店への就職、その後職を転々としながら、横須賀海兵団への入団、米子美保航空基地で敗戦を迎えることになる。
10年間のお役所勤めの後、舞台脚本と演出などを手がけていくのだが、その当時の創作への取り組みや喜び、作家としての覚悟など、まるで肉声のように伝わってくるエッセイ集でもある。
(2003.2.15 第一刷発行)
今後の池波正太郎未刊行エッセイ集予定
わたくしの旅
わが家の夕めし
新しいもの古いもの
作家の四季