〈はやみね かおる〉
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講談社、2000円。
小説家を夢見る小学校6年生の山村風太は、夏休みを前に百円で未来を売る猫柳さんに出会う。
風太の両親にもすっかり気に入られた猫柳さんは、そのまま山村家に滞在することになった。
「未来屋」と自称する猫柳さんとともに過ごす、小学生最後の夏休み。
髪櫛町に伝わる、神隠しの伝説や、人喰い小学校の謎、首なし幽霊、人魚の宝物と呪いの話などなど、猫柳さんと一緒に謎の究明に乗りだした風太だったのだが…。
読みながら自分が子供の頃にタイムスリップしたような、ワクワク感が味わえた作品。
さすが元小学校教師のはやみね先生…いきいきとした風太くんと猫柳さんの会話もとても楽しめる。
著者のあとがきでも「自分が読みたいって思う原稿をかいてしまいました」と、あるがホントに楽しんで書かれた作品なのではないだろうか。
こんな素敵な先生が担任だった子供たちが羨ましい。
(2003年10月初版発行)
角川書店、1200円+税。
地元の国立大学M大学文化人類学科に入学した井上快人は超堅物で融通の利かない真面目人間。
悲しいかな、貧乏学生の性ゆえに、月一万円という超破格値の今川寮に下宿することになる。
そこは変人奇人のたまり場—特にその中でも、皆に恐れられている(!?)らしい、長曽我部先輩に気に入られてしまい、あやかし研究会なるものに、彼女の春奈とともに入部する羽目になってしまう。
ここだけの話だが春奈は、強力な力を持つ霊能力者である。
そんな春奈と、変人奇人の長曽我部先輩に日々振り回されつつ、快人の大学生活及び不可思議な謎解明が始まったのだが…。
まるでアニメのようなスピーディーでテンポのよい会話が面白い。
キャラ的にも、快人の堅物ぶりが突出していてあきさせない。
快人&春奈のコンビは、本書以外で『天狗と宿題、幼なじみ』(角川スニーカー文庫、ミステリーアンソロジーⅣ「殺意の時間割」収録)にて小学校六年生として登場済みとのこと。
(2003.12.25初版発行)