文藝春秋社、1667円。
タイケイ飲料宣伝部課長である堀江雅之は、業績悪化に伴うリストラであと半月ほどで退職することになっていた。
ある日、そんな彼に経営第一線をしりぞいた石崎会長から呼び出しがあった。
そして会長自らが撮影したという1本のビデオテープを見せられた上で、テレビCMに使えないだろうかとの相談を受けることになる。
20年つとめた会社での最後の仕事・・・その1本のテープに隠された、ある謎を堀江は追い求めることになるが・・・。
藤原氏描くところの、「中年オヤジ」は実にいい。
無類に私好みでもある。
何がいいかというと、どうしようもないくらい無茶苦茶だし、暴走破滅型だけどロマンチストだし、社会の枠から目一杯はみ出しそうだけど、仕事はできる。
そして、正義感が強いし、熱い男でもある。
要するにほっとけないオヤジなのである。
堀江の部下、大原真理ではないが、思わずほおっておけなくて世話を焼きたがる気持ちが充分すぎるほどわかる。
感想は脇道にそれてしまったが、タイトルは意味深でもある。