〈安土　敏〉

東洋経済新聞社、１６００円、長編小説。
流通業界を舞台に、大手と中堅スーパーの提携をめぐる謀略を、主人公御堂の人間関係をからませながら描かれた小説。
提携をめぐる謀略などは、実際の体験をもとに描かれており、興味深い。
しかしながら著者いわく、「主人公の人生観が転換していく姿」を主体に描かれているため、それ以外の部分は非常にシンプルな筆致となっている。
妻と親友の病をきっかけに、企業戦士として「出世」という階段に固執してきた男が自ら選択した、人生の転機は読み応えがある。
著者はある中堅スーパーＳの社長でもある。