雨 の 日


雨が降ってきた。





どうもオレは雨が降ってくると頭痛がひどくなるようだ。眠たい。だけど、頭は割れそうに痛くて痛くて・・・。誰もいない部屋のかたすみに膝をかかえ、うずくまりながら頭の痛さと格闘している。


「オレ、昔は雨が降るたび嬉しくて、傘もささずに外に出ては母親に怒られてたっけ。」

っと、ボソリと独り言をつぶやいた。今は、もうこの世にいない母親の姿を思い出し畳の匂いをクンクンと嗅ぐ。一人、過ごす雨の日がこんなに寂しいものだと気づいたのはいつからだったろうか。しばらく畳の上でうずくまっていたら一気に眠気がおしよせてきた。先程までは頭の痛さのほうが大きくて眠ることもできなかったのに・・・。




ウトウトと今は亡き母親との楽しかった頃のことを夢にみていたのだが、『ガチャガチャ』というマンションのドアに鍵を差し込む音とともにオレは覚醒しはじめた。少し気分がマシになったようなので上半身を起こし、前髪にかかる漆黒の黒髪をけだる気に梳いた。壁にかかる時計の針とニラメッコをしていてオレの意識は完璧に覚醒した。

「あっ!いけね。もう夜の6時だ[@@]」

あわてて立とうとしたのだが、いかんせん。頭痛だった身体を急に動かすとフラリと立ちくらみをおこしてしまうのが常というもの。起き上がろうと思っていた意思とは逆に身体は吸い寄せられるように畳へと引き戻されてしまった。
玄関のほうで声がする。



「ただいま。高耶さん。」と。

普段はロクでもない犬野郎だけど、こんな雨の日は、オマエの顔が早くみたい。きっとお前は驚くだろな。畳の上にいるオレを見て、「どうしたんですか?御身体の具合が悪かったんですか?すぐに病院に行きましょう。」なんて言葉をかけてくるのかもしれないな。





寂しく一人で過ごした雨の日は、頭痛がする。・・・だけど心配そうにオレの顔を見ながらオレのことで頭をいっぱいにしているオマエをみてると何だか頭痛だったことも忘れそうなぐらいオレは気分がいい。今日は、スーパーに夕飯の材料も買いに行っている時間もないし、オマエが作るおかゆを食べたいな。それくらいだったらオマエでも作れるよな。

「おかえり。直江。病院はいいよ。頭痛で寝てただけだから。でも、今夜は直江のつくるお粥が食べたいな。」
と直江に言った。本当に病院に行かなくていいのかとまだ心配そうな顔をしていたが、そんな心配そうな顔をしているオマエも好きだ。でも、毒だけは言葉にいれておくのを忘れない高耶である。

「オマエはお粥しかできないだろ。だったらオレの舌を満足させられるお粥をつくってみろ。」

「御意」


いったいどんなお粥をつくってくれるのやら。その後、お粥一つ作るのに1時間くらい台所に篭っていた直江。サイコーのお粥はできたのだろうか?できあがったモノは高耶さんと直江しかわからない。





以前、日記でアップした『雨の日』を小説でアップしてみました。本日から11月なんで10月の日記で書いたから今回こっちで載せようと思ったのですが、1ヶ月前の自分がなんだかはずかしくかんじられました。次は日常っぽいのじゃない作品をかきたいなぁと思っていたりします(^^)
<2004年11月1日日記から転載>





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