『都市育成シュミレーションとしてのSIMCITY』研究レポート

ティータイム
緊急特番『なぜ、ダムはなくなったのか?』推測だらけ・・・

 「いきなりティータイムってなんだ??」と思った読者も多いと思うが、よく問題集などについているコーヒーブレイクのようなものである。コーヒーが好きではないのでティータイム(ブレイクじゃないのに理由はないです)になっただけ。コラムでもいいんだけど、まぁ重なっちゃうので、ね。


 SIMCITY3000には2000で登場したダム(水力発電)がなくなった。別に2000でダムがダムの役割を果たしていたかというとそうではないのだが、やはりヴィジュアル的なものとしてダムは必要であるかな、と考える。
 SIMCITY2000からユーザーが自由に水を配置できるようになった。そのおかげで色々な地形を作ることに成功した。川をひくことはもとより池を作ったりと。水がおけるようになってユーザー(市長)たちは歓喜した。「市長官邸の周りには川を」「病院の隣には池を」「あの山に滝を」などなどそれぞれの思いをはせ市長達はこぞって水を用いることになった。(川についての説明はここでは省くことにする)

 池には色々な種類があって、自然発生した(くぼ地に水がたまる)池、人工的な貯水池、公園の池、庭の池などがあり、我々の生活の中で池はごく身近なものである。作り方は2種類。水タイルを置くか、もしくは地形を下げて(2000から可能になった)水を湧かせるか・・・いったいこの二つは何が違うのだろうか?

 (1)と(2)の池はまったく同じように見えるが、地形から見るとそれぞれが(3)(4)となる。(1)は土地を下げたもので(2)の池が「水」タイルを置いたものである(4を見ていただければわかるだろう)。
 では土地を下げれば水が出るかといえばそうでもない。右の絵を見てもらおう。これは海抜200フィートの高台で(1)と同じ池を掘った。しかし結果は見ての通り。下げられた土地の一番低いところの高度は100となり水は出ない。そう、ゲーム内では海抜50フィートより低く掘らないと水は出ないのだ。もし、このくぼ地に水タイルを置くとどうなるか・・・滝だらけのくぼ地ができるだけである。
 ちなみにSIMCITY2000では高度がフィートであらわされ、一番低い陸地が50フィート、一番浅い水辺が水深50フィートとなる。

 となるとどうなるか?実際のようにくぼ地を用意しても雨の影響がでないので水はたまらない。流れ込む川を作っても現実のように水は流れてこない・・・結局、現実のようなダムを造るのは困難であるということ。また、2000の水力発電自体が滝(坂の上に水タイル)の上に置くだけというものなので、ものとしてはまったくダムとは異なる発電所になっている。そのことから伺えるのは、2000に登場するのはどちらかというと川の段差にある簡易水力発電所のことであろう(たまに大きな川の高さを調節するためにあるやつ)。そう考えるとこの施設に対する考え方を考え直さないといけない。と思ったら、この滝の高さは50フィート(約15m、ビルの4〜5階分)。これほどの高低差のある放流用のダムもあまりないような・・・アメリカの事例を調べるのは厳しいのはここまでとしておきましょう(オーイ)。


 さて、ダムが3000に採用されなかった理由はもう一つある。現在、アメリカではダム開発をしていないからだ。理由は様々だが、簡単にいうと「いらない」「自然破壊だから他の利用法を考える」という理由である。ダムを建設することによって周辺・流域の環境は悪化。発電と灌漑の為のダム開発の裏では利権と無知なプライドが行き交い、地域振興のための開発(発電所は仕事と工場を与えます)が逆に地域住民の思いを無視しおかしな開発となった。これに対して住民運動が激しくなったのはいうまでもあるまい。このような問題は何もアメリカだけではなくインド・中国・インドネシアそして日本でも存在している。科学が神だと信じた過去の妄想にのっとって進む開発・・・・・・・・しかし、行き着いた先は「自然の支配などできないのだ」ということだった。

 結局、ダム開発とは失業と不況をすくう手段として使われてきた(ニューディール政策もそれ)が、膨大な建設費と労働力が必要で、かつ住環境にもよくないことから廃止の方向へ住民やNGOが行政に働きかけるといった格好で進んでいる。都市部の人が使っている水のために犠牲になるより、もっと他の方法で水利用をしましょうよ、平等に・・・というこの動きが日本でも起こることを願っています。なんでもかんでも「他人事」の時代は終わりましたよ。


 てな訳でダムはないんだよ、たぶんね。(本日は強調をなくしてみましたがどうでしょうか?)




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