悲劇!良心の裏に隠れた真実!
    〜コレクターの悲劇〜

書いた人 みずき名
ださいひと 初代→紅帯

冬の寒い日、T尻クンはとても困っていました。
彼は、とても悲壮な顔でした。
彼の困っている理由は↓です。

彼は3、4時間目にある授業の教科書を忘れてしまったのです。
教科書を忘れただけなら、そこまで困ったりはしないでしょう。
しかし、その授業は、彼の卒研担当教官の授業です。
卒業研究も大詰めで、なかなか進まないこの時期です。気合の入った教官の授業に教科書を忘れていくのは、ちょっと勇気がいるものです。

そして、いかんせん、彼の席は一番前なのです。
それだけでは、ありません。その教官の授業中の口癖が、
「どうだ、わかったか? T尻クン」
なのです。
T尻くんも、ドラえもんの四次元ポケットに逃げたくてしょうがなかったのでしょう。

そんな、相談を僕は受けたのですが、同じ授業をうけないといけません。
貸せるはずがないのです。

その話を「ダサカツ初代」(以後、初代)に話したところ、彼は、すごいことを言ったのです。
「おれ、サボるから貸すよ」
実に友達想いです。しかし、理由が理由なだけにまともな人と言えないのが残念です。
とにもかくにも、問題解決。初代の良心に感謝です。

かくて、彼は授業を無事受けられました。

しーーーーかーーーーし、三時間目の休み時間T尻クンの様子が変なのです。
浮かない顔です。
どうしたのでしょうか?
彼に聞くと
「あのさーぁ」
とても、言いにくそうに口を開きました。
「ここに、書いてあるよね」
といって、教科書をめくり出しました。
そこには、なんてことはないメモが書いてありました。数式やなにやら、授業中に書かれたモノです。
何か、先生の説明に間違いでもあったのでしょうか?
「それと……ここね」
といい、彼は教科書のメモを見せはじめました。
???????????
「それと、これ」
次は、自分のノートです。
何が言いたいのがわかりませんでした。僕だけじゃなく、気になって集まっていた友人達もわかりませんでした。

そして、T尻クンは言い放ったのです。
「これ、俺の教科書じゃないか?!」

そう、筆跡が同じだったのです。
彼の教科書としか、思えないのです。
ファイナルアンサーです。

これには、一同爆笑。「ださいーーーーー」の連発でした。
初代は自分の教科書と思って、T尻クンに貸したのに、それがT尻クンのだったとは。
ある意味犯罪…

そこで、僕とY本君は、初代のいるはずの卒研室に行きました。彼は、そこでよくゲームをしているのです。
しかし、卒研室には、誰もいなかったのです。

残念ながら初代には、この事実を伝えられませんでした。
卒研室の初代のロッカーにもしかしたら、初代の教科書があるかもしれません。
それを、確かめようと僕とY本クンはロッカーをあけました。
そこには、思った通り教科書が…?あり?

その応用数学の教科書のカバーの破れ具合が、とても似ているのです。
僕はその昔、応用数学に授業中に、他の教科のレポートをするため、応用数学のカバーだけをレポートに必要な教科書にかけて、偽造していました。
それによく似ているのです。表は、応用数学だけど、中身は別のはずの教科書に。
中身をみれば、僕のかどうかわかります。

まさか、とは思いましたが、初代を疑うわけではありませんが、その教科書の中身をみせていただきました。
……
「この教科書、おれのだ」
と、次の瞬間僕の口からでていました。

これには、僕もY本クンも大爆笑!
初代は、他人の応用数学の教科書×2(ひとつは、もどき)を自分のロッカーに、我が物のように直していたのでした。というか、彼は自分の物と信じて、疑っていなかったのです。
気付かない初代はダサいです。
それを貸すあたり、まことにダサいです。

その後、初代の教科書は見つかりませんでした。

「なら、 僕の教科書はどこにいったんでしょうか?」

といった初代の言葉は、青いお空に吸い込まれていったことが、昨日のようにおもいだされます。

おしまひ。

PS、彼はその後「応数コレクター」の異名を取ることになります。

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