アメリカン・楽

 アメリカン・楽は、日本の伝統的な楽焼きが欧米で発展し、確立した焼成方法です。日本の楽焼きは、イギリス人陶芸家バナード・リーチらによって 外国に紹介されたとされています。当時の欧米の作家にとって、1000度以上に熱せられた茶碗を水の中で急冷する黒楽の技法や、木の葉やおがくずなどで いぶしながら釉薬に変化をつける方法は、とても新鮮に映りました。とくに、即興性のあることに、合理主義的な欧米人作家には、より魅力的なものになった様です。
 1960年代に米国人陶芸家ポール・ソルドナーによって、おが屑等の燃えやすい素材で還元効果(以降 ポスト・ファイリング 写真資料6)を行う現在利用されてい方法が確立されました。

    

  *アメリカン・楽の特徴



以下の作業工程は、2000年11月に陶芸教室の皆さんと楽焼きをした風景です。

 1

 窯の全体図です。焼成は800度〜820度程度なので、構造はあまり神経質になる必要はありません。直炎式でガス圧に応じて、空気の取り入れる量を調整します。

窯の構造

 2

 釉薬を掛けて間もない作品は窯の上に乗せて、水分を蒸発させます。
約600度くらいの窯の中に入れるので、作品の爆発を防ぎます。

 3

 600度から約800度までの焼成時間は、
20分から30分ぐらいです。あまり昇温時間が短いと、釉薬があばた状態になります。

 4

 700度ぐらいから
釉薬が溶け始めます。
直炎式のため、温度と炎の当たり方にムラがあり
ますが、窯の特徴をつかむことで、釉薬に変化を
つけることができます。

窯変について


 5

 火ばさみで作品を取り出します。窯の中は、かなり熱くなっているので
注意が必要です。
作品を出し終えたら次の作品を窯詰めします。

 6(ポスト・ファイリング)

作品をおがくずの上に置き、さらに上にもおがくずを掛け、10分間から20分ぐらい蓋をします。空気を遮断する事で還元雰囲気を作り出します。アメリカン・楽の
釉薬の性状を決める一番重要なポイントです。



 7

 おがくずの中から作品を取り出し、水の中に入れ急冷します。こうすることで還元作用は作品に定着します。ただし形の複雑な物や、花瓶等口が小さい物は、ヒビなどが入ることがあるので、しめらしたおがくずので、完全に冷却します。


 8

スチールウールで作品を磨き、余分なすすをとりのぞきます。
細部は歯ブラシなどで磨
きます。

 

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  完成作品です。

堀井 隆 楽焼きの作品




 *素地について

 アメリカン・楽では、800度以上で急熱急冷をするため、素地の選び方が重要です。

 陶芸教室では愛知県瀬戸市の大島耐火さんの土を使いましたが、幸い大きくひびの入った作品は1点もありませんでした。
多孔性を高めるために信楽土に10%から20%のシャモット、又は童仙坊を混ぜても良いと思います。

 素焼きは900度から1000度ぐらいが適当と思われます。釉薬は800度〜820度で溶けてしまうので、通常の素焼きより高温にしないと非常にもろい物になってしまいます。ただし1000度を超すと素地のガラス化が始まり釉薬が塗りにくくなります。

 *成形での注意点

 アメリカン・楽の作品の制作にはどのような成型方法でも良いのですが、あまり厚くしすぎないように注意しました。(1cm以下)やはり1番の問題点は、パーツ同士を接着したときです。普段の高火度焼成よりより注意が必要です。


 *釉掛けについて

 アルカリフリットは非常に沈殿しやすいため、ふのり、またはCMCを混ぜよく攪拌します。釉薬により厚みが若干異なりますが、あまり厚掛けするとあばた状になります。





参考図書 ピーター・コセンティーノ 「陶芸の技法百科」 グラフィック社

     クリスティーン・コンスタント スティーブ・オグテン 「焼き物の釉薬」

     丹下 裕史 「楽焼きの実践と考察」









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