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 三谷作品は、いわゆる群像劇といわれるものや、二人芝居、コメディからややシリアスな作品まで、多彩である。また、古くからのファンによれば、最近の作品は傾向が異なるらしい。

 最初に書いたとおり、古い作品をよく知るわけではないのだが、多種多彩な作品を長きにわたって生み出しているにせよ、そこは同じ人、なにか脚本家の人間観を見いだせそうな気がする。

 ドラマの王道の一つは、ある集団に新参者が登場するという始まりである。新参者は、現状をよしとせず改善を試みるが、遅々として進まない。
 けれども、終盤に来てから振り返ってみると、どの登場人物も、少しずつ変化している。それは時に職業意識(「王様のレストラン」)、過去の事実に対する認識(「You Are The Top 〜今宵の君〜」)等、様々なものなのであるが、わずかながらに、ドラマの始まりとはスタンスが変わっている。そして、大きな(あるいは小さな)奇跡が起きる。

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 と、ここまでは、ドラマによくある話なのだが、三谷幸喜はここから「現実にある話」に引き戻す。「そうはいっても、人間、根本的にはそう変われるものではない」ことをちゃーんとラストに見せてくれるのである。「合い言葉は勇気」しかり、「オケピ!」「BN☆GT」のラストのオチしかり。
 人間、そうそう変わるものじゃない。でも、少しなら。それも良い方に。そしてその少しが大きな奇跡を招く(こともある)。

オケピ!

バッドニュース☆グッドタイミング

 とはいえ、一つ例外があるかも知れない。「総理と呼ばないで」である。総理に対する世間の目はあまり変わらないことが見せられるのだが、大きな奇跡を見せた総理自身は、大きく変わったような印象が残る。
 この作品では、中盤に伏線が張られているように思う。長く総理に仕える秘書官は、ダメ総理についてこういう(正確にはよく覚えていない)−彼は、未熟である。しかし未熟であるからこそ、成長の機会がある、と。大好きな言葉である。
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