●かに玉
 

仕事始め、私は同僚と昼食を食べにでました。
仕事始めでどこのお店も混雑していました。しょうがないので、
いかにも流行ってなさそうな中華料理店に入ったのです。
 

注文した品:カニ玉定食
 

およそ15分後・・・
出てきたものはお皿いっぱいの卵焼き。
それはそれは、一緒にいた同僚も、「イメージと違いますね」と
開口一番におっしゃるほどに、山盛の卵焼きでした。
当然のごとく、アンなどかかっておらず、また、うっすらと焦げ目すら
付いている始末でした。
 

これはもう、卵焼きである、と、疑いの余地はありませんでしたが、
私は空腹でしたし、休み時間は限られているので、
一口、二口と、食べ始めました。
 

「見た目は悪いけど、やっぱりカニ玉だ」と、言いたかったのですが、
その味付けといったら塩味しか付いていません。
そして驚いたことに、探せど探せど、カニがどこにも見あたらないのです。
あるものと言ったら、細切りのタケノコだけです。それも申し訳程度に。
 

「こんなもん客に出しやがってなにが中華料理屋だ」、
と怒鳴ってやりたい心境に駆られましたが、
押し問答して代金支払い拒否をすることもできず
(実際は単に勇気がなかったのか、うんざりしていたのか、そんなところです)、
私は客としての謙虚な抵抗として、
その卵焼きと白米のどんぶり飯の半分以上を残し店を出ました。
 

たかだか卵焼きに800円+消費税です。
しかも私の空腹はみたされていませんでしたので、
コンビニエンスストアでサンドウィッチを買って食べました。
しかしながら、当然私の怒りは収まらず、職場に帰って周囲その出来事を語って
聞かせ、なにがあってもその店にはいってはいけないと念押ししました。
 

食べ物の恨みは恐ろしいのです。