初級シスアド 平成7年度午後問題

次の問1から問4までは必須問題です。全問解答してください。


問1 システムの移行に関する記述を呼んで,設問1〜3に答えよ。

 Y社では,このたびパーソナルコンピュータ(パソコン)中心の全店ネットワークへの移行が完了した。新・旧システムにおける各店の業務処理は,次のとおりである。

旧システムの処理概要

(1) 毎日の活動に必要な顧客情報・注文取引情報等は,前日までの内容を毎朝一番にプリンタから出力していた。
(2) 顧客との注文取引内容はその都度マークカード読取装置から入力していた。
(3) 顧客との精算は,(1)のリストなどを元に行い,精算済のデータは同日の夕方にまとめてマーキングし,マークカード読取装置から入力していた。
(4) すべてのエラーは翌日の朝まとめてプリンタから出力していた。


新システムの処理概要

(1) 顧客からの注文取引のデータは,パソコンのキーボード操作によって入力する。
(2) 顧客との精算は,パソコン画面を参照しながら行う。
(3) 顧客情報,注文取引情報とも直前の内容をパソコンで見ることができる。
(4) エラーは内容によって即時または当日中にパソコンから出力される。


 システムアドミニストレータのA君が所属する支店では,今回の新システムへの移行は同君の活躍もあって,大変スムーズに行われた。これによってこの始点には,端末設置計画の方針どおり,2台あったマークカード読取装置の代わりに同数のパソコンが設置された。
 こうした中で,今回最も懸念されたのはキーボード操作であった。従来のカードマーキングはだれもが簡単にできる作業であったが,キーボード操作の不慣れがいろいろな面で影響すると予想されたからである。そのため各店ともその修得に熱心に取り組んできた。
 新システムが稼動してから一週間ほどしたころ,A君はある現象に気づいた。それは,各パソコンの前に処理の順番町の行列ができることで,常時2〜3人,多い時には,4〜5人にもなっていた。以前には全く見られなかった光景で,せいさんのために来店している顧客の待ち時間にも影響していることが分かった。
 A君は,早速システム部門の担当者にこの現象に付いて相談したところ,キーボード操作の不慣れからくるもので,もうしばらくしたら解消するだろうという話であった。
 その後,注意深く観察しつづけたが,一か月たっても一向に解消しない。キーボード操作にもぎこちなさがとれてきていているように思われるし,一日の来店顧客数や処理件数が増えている状況でもなく,社員数も20名と変わっていない。一体どこに原因があるのか不思議に思っていたが,ある日重要なことに気が付いた。早速A君は総務過長と相談し,経営トップに対しその改善の助言を行い,ほどなく全店に対し改善策が施された。その後,行列現象を見ることはなかった。


設問1 次の[   ]の中に入れるべき適切な字句はどれか。

今回の新システムの導入による現場の変化は,端末が[ a ]から[ b ]へと変わり,そのために入力方法が[ c ]から[ d ]へと変わっただけではないと言うことをA君は感じ始めていた。
 もちろん[ d ]に慣れなければならないが,それが本当に本質的な問題であっただろうか。
 支店における顧客との精算処理を考えてみた。従来の精算処理では,事前にプリンタへ出力されている諸リストを基に精算ができた。すなわち,精算作業と精算データの入力を,必ずしも同時に行わなくてもよかった。したがって,顧客が集中的に来店しても,[ e ]の制約を受けることはない。むしろ[ e ]よりも[ f ]との関係が大きいことが分かる。つまり,マークするデータが大量にあったとしても,全員で一斉にマーキングできるということである。このように考えると従来の業務のやり方は分散的な性質をもっているといえる。
 これに対し新システムは,顧客との精算はパソコンを[ g ]に操作することを基本としていることから,顧客が集中的に来店した場合,当然のことながら[ e ]の制約を受けることになる。つまり新システムでの精算は,顧客の必要情報をパソコンで確認しなければ処理ができないわけで,単純にその仕事を各人に割り振れば済むというものではない。
 このように,新システムは従来方式とは異なる集中型の業務へと質を変えていたといえる。

a,bに関する解答群
 ア イメージスキャナ  イ CD-ROM       ウ パソコン
 エ 汎用コンピュータ  オ マークカード読取装置

c,dに関する解答群
 ア キーボード操作   イ クリック      ウ 手書文字入力
 エ ペン入力      オ マーキング

e,fに関する解答群
 ア 社員数       イ 生産処理時間    ウ 端末
 エ マークカード枚数  オ 来店顧客数

gに関する解答群
 ア 階層的       イ 効率的       ウ 対話的

設問2 A君が助言した内容として、最もふさわしいものはどれか。
解答群
ア 顧客が集中的に来店した場合、一番大きな問題は顧客の待ち時間を以下に短くできるかである。そのためには増員が不可欠である。
イ 今回の新システムの処理スピードは、従来システムとは比較にならない速さである。その速さに各社員がついていけないのが、根本的原因である。社員のレベルアップのための研修が必要である
ウ  新システムにおける本質的な業務スタイルに合致するように軌道修正を行うことが先決である。つまり、社員数に対しバランスのよい台数のパソコンを設定すべきである。
エ 設置されたパソコンの性能に対し、取り扱うデータ量が多すぎることが秒列現象の根本的原因である。パソコンの性能を上げていくべきである。

設問3 新システム移行による影響に関する記述で、不適切なものはどれか。 解答群
ア 旧システムでは、顧客からの確認や問い合わせに対し、いちいちプリンタから出力されているリストを見に行かなければならず、時間が掛かるだけでなく確認漏れなどが生じたりしていたが,新システムでは解消する。
イ 休止すでは,単純な入力ミスでも翌日にならないと判明しないなど少なからず問題があったが、新システムでは単純な入力ミスであれば即時にエラーになる等、その場で修正が可能である。
ウ 顧客情報などが一元的に把握できる新システムでは、店頭カウンタで生産のための受け付けを行うと同時に生産処理もできる。いわゆる一線処理の導入が可能となることから、顧客の待ち時間の短縮が期待できる。
エ 新システム並行しても、店頭カウンタでの受付処理と、後方における精算処理とではその処理内容が大きく異なることから、それぞれを機能区分して対応する二線処理の方が,顧客の精算町時間短縮に効果的である。
オ 精算処理を行う際、当日直近に成立した取引については,旧システムでは把握が極めて困難であったが,新システムでは即座に確認できることから,その分を含めての精算処理は以前に比べ容易にできる。