トビー・フーパー監督作品

『悪魔のいけにえ』

1974年 アメリカ映画




‥‥そう、なんてったって『悪魔のいけにえ』‥‥のことなのだ!!
でかいバカがチェーンソーをブンブン振り回し、ふぎ〜ふぎ〜わめきながら美女(!?)
を延々と追いかけまわす映画だぜ!どうだ!?
いえいっ!殺れ、殺れレザーフェイス!レッツ・ゴーでかいバカ!!
そこいらのきゃあきゃあ浮かれまくるノーテンキなヤング(死語)どもを片っ端から切り
刻んじまいな!ひゃっほーぅぅぅぅぅ‥‥‥‥最高!いえいっ!
‥‥‥‥などと、余裕びんびんにかまして観られるのは、二回目以降からの鑑賞のこと。
「まだこの映画観ていないから、これからチョット観てみようかしら‥‥」
‥‥そんな貴方は、くれぐれもご用心あれ!あまりにも異常な恐怖映画の最高傑作『悪魔
のいけにえ』は、お手軽お気楽ホラーな気分で観たりすると確実に痛い目をみるだろう。
観る者の脳天めがけて10000トン級ショックの塊をダイレクトにブチかまし、我々人
として生きるモノのもっとも「痛い部分」を鋭利な剃刀でズタズタに切り裂き、さらにそ
の傷口へ塩をたっぷりなすりつけてくるような‥‥と、何がなんだか良く分からないけれ
ど、とにかく凶暴かつ大胆な手口でもって、観る者すべての心に強烈なトラウマを植え付
ける映画なのだ!!

さてわたしも初めてコイツに出会ったときは、鑑賞後に約3分間ほどフリーズしちまった
ことは言うまでもない。なんつーかこう‥‥頭んなかが真っ白になっちゃって‥‥それは
まるで初めてフェラチオされたときの感覚に近いモノがあったな!(なんじゃそりゃ?)
‥‥いや、それはまぁ冗談として、とにかくショックだったよ!
「観てはイケないモノを観てしまった」‥‥そう、そんな感じだな。実にヤバいモノを観
てしまったような‥‥オソロシイというよりも、これは相当オゾマシかった!
いちばんびっくりしたのは、次々に登場する異様な登場人物たちのこと。
人の皮を被った(まさに!)狂える悪魔レザーフェイス!リアル過ぎる狂気を無遠慮にふ
りまくヒッチハイカー!そして一見マトモにして実は誰よりもクルクルパーだったりする
おやぢさん!さらには、ほとんど生ける屍と化した−−年齢100歳はゆうに超えている
吸血爺や!(それでも背広着用だぜ!)‥‥おお、なんてこったい、悪夢のようなキチガ
イ一家が勢ぞろい!

「うぅぅ‥‥ぐわわわわわ〜‥‥」
「やれー、やれー!それいいぞジイさん!がつんとブン殴れ!」
「ひゃはははは!でぇーい貸せ!オレが殺る!オレに殺らせろ!!」
「ふぎー!ふぎー!ふぎー!」


‥‥我々はこういうシチュエーションに対峙したとき、一体どうすればいいのか?
「あ。お取り込み中のところすみません。NHKです。集金に‥‥いや、また来ます!」
などと言いつつ、その場を一刻も早く立ち去るべきしか術はないだろう!

・・・というワケで、何だかまとまりがなくなって脱線して来たし、こうしていくら文章
にしてみてもこの映画の衝撃度は伝えられそうにないので、ここいらでおしまいにする。
『悪魔のいけにえ』未体験な貴方‥‥この続きはどうか貴方自身の目でお確かめ下さい。
だけど、先ほども述べたように、貴方の身にどんな異変が起きようとも、わたしは一切責
任を持ちません。もう一度言います‥‥くれぐれもご用心を‥‥うわーっはっはっは‥‥


・・・とかフェイド・アウトしつつ、再び登場!続いてはコレ、そう・・・・・


トビー・フーパー監督作品

『悪魔のいけにえ2』

1986年 アメリカ映画




とてつもなく壊れた傑作として名高い『悪魔のいけにえ2』は、もっともっと一般的に
高く評価されてしかるべき作品なんじゃないだろうか!?

製作された時代が時代だけに、若干「お笑いホラー」的なテイストはあるモノの、やは
りここでも前作同様、血臭ぷーんと漂って来そうな‥‥妙にナマナマしい異様な雰囲気
は健在!殺気と狂気‥‥そしてばかばかしさが見事に同居した、映画史上まれにみる戦
慄すべき独特の世界観が展開されている!(大袈裟‥‥)

そう、この何とも言い難い独特の雰囲気は、本シリーズ特有のモノなのであろう。
ほかの同系統の作品と比べてみても、こんなのチョット見当たらないよな‥‥とわ言う
モノの、これはあくまでもトビー・フーパーが監督した最初の2作品だけのことなんだ
がね。以降作られたパート3、パート4なんて、はっきり言っておれにとってはどうで
もいい。ただ、ジェフ・バーが監督したパート3のなかには、ガソリンスタンドの変態
が女便所を覗いて喜ぶというすばらしいシーンが出てくる。ここだけはグッドね!
パート4は‥‥(あ、観ていねーや(笑))

話は少々脱線したが、『悪魔のいけにえ2』はやはり相当にキチガイですばらしい。
チェーンソーを3つも抱え、雄叫びをあげつつ突進するデニス・ホッパーや、リアルな
キチガイ「チョップ・トップ」役のビル・モズリーの演技が実に良いせいもあるんだろ
うが、苦笑‥‥もしくは爆笑するしかないであろう、あまりにも異様なシークエンスの
数々には、タダ者じゃ思いつかないような・・・トビー・フーパーならではのグッド・
センスが炸裂!たとえば‥‥干からびた死体を使っての「イッコク堂遊び」や、男の顔
の皮を剥ぎ、それを女に被せてダンスを踊るレザーフェイスのノータリンぶりを見事に
表現したシーン等々・・・本作には語るべき、素敵な見所がたくさんある!

そして唖然呆然絶対確実な、衝撃のラストシーン‥‥
山のてっぺんでチェーンソーを振り回して、ひたすら踊り狂うおねえさん‥‥‥‥
‥‥こ、これは一体全体どうしちまったことなんだろうか!?熱でもあるのか!?
この「おねえさんチェーンソーの舞ひ」が意味するところはまったくもって意味不明で
あるけれど、いやぁ‥‥‥‥なんだかとってもショッキングじゃないか!!
こうした忘れたくても忘れ難い名シーンの数々があってこそ、『悪魔のいけにえ2』は
単なるホラー映画のワクを超えて「崇高なる異常映画」へと昇華し、多くの心ある映画
ファンの心を掴んで離さないのである。




<つづく> 次回は『エクソシスト』の予定です








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