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『世界残酷物語』MONDO CANE/MONDO CANE No.1/A DOG'S LIFE

  ■1962年:イタリア作品■製作:監督:グァルティエロ・ヤコペッティ/フランコ・プロスペリ/パオロ・カヴァラ
  ■撮影:アントニオ・クリマティ/ベニト・フラッタリ■音楽:リズ・オルトラーニ/ニーノ・オリビエロ


■□■冒頭ナレーション■□■

「この映画に収められているおどろくべきシーンの数々はすべて本物であり、事実をそのまま撮影したモノである‥‥‥‥
‥‥‥‥誰が何と言おうと、すべて本物なのだ!‘やらせ’は一切含まれていない!ありのままの真実を伝えるのが、われ
われジャーナリストの役目なのだ!文句あるかっ!?世界は残酷と野蛮と憎悪と悲惨な現実に満ちている。人間はそれら厳
しい現実から目を反らしてはいけないのだ!ここに収められた衝撃映像の数々は、われわれが世界中を飛びまわり、ときに
は生命の危機にさらされながらも撮影した決死の記録である‥‥‥‥何度も繰り返すが、このドキュメンタリー映画には、
‘やらせ’は一切ない!すべて事実のみで構成されているのだ!本当だって!!ウソぢゃねーぞっ!!‥‥知られざる地球
の正体、驚愕の現実をたっぷりとお見せしよう‥‥‥‥『世界残酷物語』の始まりだ!」



イタリアはトスカーナ州、1919年生まれのジャーナリスト、グァルティエロ・ヤコペッティがフランコ・プロスペリ、
パオロ・カヴァラといった面子の助力を得て完成させた、前例に類を見ないスタイルの異色ドキュメンタリー映画、『世界
残酷物語』。大胆不敵かつ奇抜で‘残酷’!まさに特異としか言いようがないその作風がセンセーショナルな話題を呼び、
1963年に初公開されるやいなや、世界中で大ヒットを記録した。文明国からはるか遠く離れた未開地に暮らす野蛮人ど
もの狂態。そして、文明社会における知られざる奇習や悲惨な事件の数々‥‥今までに見たことも聞いたこともない、数十
にもおよぶ衝撃的なエピソードが、これまた観る者にダイレクトなショックを与える残酷&野蛮な映像とともに次々と紹介
されて行くのである!疑いを知らぬ純真無垢な観客たちはドギモを抜かれ、非常にショッキングなシーンの連続に失神確実
は秒読み段階だが、真っ赤な鮮血と汚らしい土人の醜態によって彩られたアナーキーな映像とは対照的に、リズ・オルトラ
ーニが手がけた世界一美しいスコアが耳に心地よく鳴り響く。キモいけれど気持ちいい?かつて体験したことがない、摩訶
不思議なこの感覚‥‥好奇心旺盛な観客たちはヤコペッティの残酷マヂックの術中に見事はまり、残酷ブームはもはや時代
のトレンドとなりつつなるのであった!‥‥ナニをイッているのか良く分からんが‥‥いずれにせよ、ヤコペッティという
名前からしてすでに「いかがわしい」響きを持つ一人の男は、本作の大成功によって「残酷の巨匠」に成り上がり、世界各
国に大残酷ムーブメントを巻き起こすのであった!‥‥さて、それでわ早速本編のなかから、印象深いエピソードをいくつ
か抜粋してみよう。あえて言うまでもなく、ココに収録されている数々のエピソードはすべて「本物」である。「やらせ」
は一切ない。「嘘」もときには「真実」に変わる。それが「奇蹟」なのだ!世界の恥部を徹底的に暴くヤコペッティの世界
残酷紀行録。とくとご覧あれ‥‥‥‥



■‥‥まさに犬の世界だ‥‥捕えられた野犬のような気分になったコトはあるか?保健所の狭いオリの中は不良な浮浪犬た
ちで満杯だ。明日かあさって‥‥もしくわ一か月後には、み〜んなガスで安楽死‥‥そんな報われない一生を送る犬たちも
居れば、毎日が幸せイッパイな犬たちも居る。そう、アメリカはヤンキーのワン公どもはとっても幸せに違いない。死んだ
後にはとっても立派な墓地で永眠出来るのだから。人間サマよりも立派なお墓に手厚く埋葬されるヤンキーのワン公。愛犬
が天国にイッちゃって号泣するヤンキー・オババ‥‥どうして死んぢゃったのポチ!愛犬の死に涙する哀愁のオババよ‥‥
果たしてアンタの役たたずな老いぼれ亭主が死んだときにも、それだけ悲しむことが出来るのか?ポチはとても幸せである
が、そんな人間たちの行きすぎたペット熱は、犬たちにすりゃションベンの価値もありゃしない。

■「犬は人間の良きお友だちさ!」‥‥えっ、それが常識だって!?「犬は食う物に決まっているぢゃん!」‥‥東南アジ
アではそれが常識なのだ!黄色い肌をした野蛮なアジア人どもの貪欲な食欲はそれこそ底無しもんで、動くモノなら何でも
喰ってしまうと伝えられている。だから犬なんて喰うのは当たり前のことであり、町の市場ではごくごく普通に食用として
犬が売られている。ほら、彼らを見たまえ!カワイイ犬を撲殺してからフックに吊し‥‥そして手際良く捌き‥‥バラした
肉を鍋でグツグツと煮込んで‥‥あとはひたすら喰うだけ!ただひたすらに、アツアツの犬鍋を喰うだけ!喰う喰う、犬を
無我夢中で喰いまくるアジアの野蛮な黄色いサルたち!ちなみにいちばんおいしいのはチャウチャウ犬だそうだ。そして犬
肉を喰って精をつけた彼らは、せっせと子作りに励む。アジアの人工がやたらと多いのもうなずけるというもんだ。

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■ここはニューギニア。人喰い族のメッカである。今まさに、野蛮部族の野蛮な「豚祭り」は最高潮に達そうとしている。
この日のために大切に育てられた豚たちを、部族の男たちが一斉に叩き殺す!豚の脳天めがけて棍棒を降り降ろす野蛮人!
白目をむいて全身をケイレンさせる豚、豚、豚!!まさにこの野蛮な「豚祭り」は豚受難の日。だけど部族の者にとっては
「ご馳走」にありつける最高の日なのだ!そう‥‥その後野蛮人どもは半死半生で地面をのたうちまわる哀れな豚に群がっ
て、よってたかって手際良く解体。肉はもちろん内臓も目玉も、捨てるところなんぞありゃしない!‥‥ああ、もう待ち切
れない!豚の肉塊を奪い合う野蛮人!‥‥調理方法はいたってシンプル。焚火でちょいちょいとあぶるだけ!あとはただひ
たすらに、むさぼるのみ!生焼けだって気にしない!血のしたたる生肉に、そのままかぶりつく者まで出てくる始末だ!!
現在のニューギニアでは、法律によって食人行為は禁止されているが(とわ言え、隠れてこっそり喰っている連中がいるこ
とはほぼ間違いない)、人肉の味を覚えて舌のこえた彼らにとっては、豚肉なんかぢゃモノ足りない? 「あの味が恋しいモ
ノぢゃ‥‥」部族の長老がぬけるような青空を見つめながら、ぽつりとそうつぶやいた‥‥

■マレーシアにある極貧の漁村。この島に暮らす人々はサメを捕えて生活の糧としている。薄汚ない中国野郎どもがサメの
ヒレを「催淫剤」の原料として高く買い上げるのだ。だが、サメ狩りには常に危険がつきまとう。この海域に棲むサメは人
間の血の味を覚えてしまった人喰いザメばかりだ!島民たちのほとんどは、サメに襲われて手足が欠損している。両腕をそ
っくりと奪われてしまった者。片腕、もしくは片足を喰い千切られてしまった者‥‥手首から先がない者もいれば足首から
先がない者もいる。サメが恨めしい‥‥だけどサメを捕り続ける以外、この貧しい島では生きていく術はないのである‥‥

■われわれ撮影隊は、この地球上もっとも危険な区域に足を踏み入れてしまった。そう、この島全体は度重なる水爆実験に
よって、放射能で汚染されているのだ!‥‥えっ!?よくもそんなアブねえところに無防備で入れるよ なぁ‥‥だって!?
‥‥まあ、そこいら辺の細かい部分については深くつっこまないでくれ!とにかくこの島は放射能で汚染されているトテモ
危険な場所なんである!!文句あるかっ!?いずれにせよ放射能がもたらす影響は実に深刻だ。それはこの島に生息する動
物たちを観察すれば一目瞭然。空を飛ぶ鳥たちは地面に穴を掘り地中で暮らし、そして海を泳ぐべき魚たちは地上での移動
が可能となり、さらには木にまで登り始めた!このように動物たちの生態系は、放射能の影響で見事に崩れてしまっている
のである。海ガメの場合はさらに哀れだ。産卵期を迎えて浜辺へと上がって来た海ガメたちの方向感覚はすっかり狂ってお
り、産卵を無事終えても彼らは二度と海へ戻ることが出来ないのだ‥‥陸地へ、陸地へ‥‥陸地を目指してゆっくりと移動
して行く海ガメたち‥‥‥‥やがて力尽きた彼らは、灼熱の太陽が容赦なく照りつける砂漠のまん中で死を待つのみだ‥‥
‥‥えっ、どうしてこの海ガメたちは逆さまにひっくり返っているのか‥‥だって?‥‥なになに!?‥‥あまりにも不自
然ぢゃないのか‥‥だって!?‥‥‥‥さて、そんなことはともかく、先へ進もうでわないか諸君!!

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<つづく>



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