フジテレビ『めちゃ2イケてるッ!』(土曜 午後7時53分〜8時54分)
しりとりゲームをして間違えた人が罰として野武士の集団に襲われ、メッタ打ちにされる「しりとり侍」という企画はu罰が暴力的でいじめを肯定するような内容」との視聴者からの苦情があったspan
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番組制作者からは、「七人の侍」を意識した時代劇風の設定で驍轤Eレタンの刀を使うなどリアリティーを排していること、また、「まねをしてはいけない」といった趣旨のテロップを入れるなどして、青少年に与える影響については配慮しているとの説明があった。
しかし、画面の中での行動が一種の袋叩きであることは間違いなく、その演出方法に必然性は感じられない。大勢で一人を叩き、仲間で笑いものにする場面はいじめの形にきわめて近いものがあり、こうしたシーンを繰り返し放送することは\力やいじめを肯定しているとのメッセージを子どもたちに伝える結果につながると判断せざるを得ないA失敗した者がリンチまがいの罰を受けるのは当然だというメッセージが伝わることも考えられる。番組の中でテロップによって視聴者にさまざまな注意を喚起する方法も、弁解さえしておけば不適切な行為も許されるという、間接的メッセージを伝えることになりかねない。特にこの番組が幼児から中学生をコアの視聴者としていることからe響は大きいと考えられる。
テレビ朝日『おネプ!』(月曜 午後11時9分〜11時54分)
ネプチューンが主に若い女性たちを巴投げで投げる「ネプ投げ」のコーナーについて、「投げられる際に女性の下着や肌が見えるのは不愉快であり、セクシュアルハラスメント、女性蔑視にもつながり、中高生に悪い影響を与えるのが心配だ」との視聴者からの苦情があった。
番組担当者によれば、この番組はネプチューンという3人のタレントのキャラクターを生かしたエンターテインメントであり、祈願成就を希望する団体のところへ出張して願いを聞き、女性を巴投げして幸せを授けるというナンセンスな設定になっている。会場の若い観客が参加して一緒にお祭り騒ぎをする番組で、回を重ねるごとに人気が出て、ついハメをはずすという現状もあり、お色気と下品、笑いと悪影響の微妙な線について迷いがあるという。
委員会は番組視聴の結果、カメラアングルに注目し、投げられる女性の下着がもっとも映りやすい位置からのショットが多用されていることなどから、番組が女性のスカートの中が見え隠れするのを売り物にしていると判断した。こうしたシーンを繰り返し放送することは、「のぞき」を肯定するというメッセージを伝えていることになる。また、投げるのは男性、投げられるのは女性という男女の役割がおおよそ固定されているうえに、女性の肉体への関心を引くような会話が多いことから、女性に対する差別的固定観念を植え付けるという問題点があると考える。
「ネプ投げ」は、映される当事者の同意を前提にしているが、公共性の強いテレビでは、「当事者の同意さえあれば何をしてもよい」ということにはならない。
民放連が定めた「青少年に特に配慮する時間帯」から外れた、夜間11時過ぎに放送される番組ではあるが、番組制作者も認めているように、最近は生活習慣の変化により11時台でも小中学生がテレビを見ており、まして子どもに人気のあるネプチューンによる番組となると一層の配慮が必要である。
バラエティー系番組の検討の中から特に強調しておきたいこと
1)放送の公共性について認識
バラエティー系の番組で問題とされるシーンも、小劇場で特定の客を対象にしたものであれば許されるであろう。しかし、公共性の強いテレビでは、番組全体の文脈から、その表現の必然性が納得されない限り、職場、学校、街中など、多くの人たちが出入りする公共の場所で見せることが社会通念として許されない行為は扱うべきではない。人を笑わせ、楽しませることを目的としたエンターテインメント番組であっても当然公共性の強い制約を受ける。そうした認識に基づき、公衆道徳や社会良識に照らして問題がないか、ほかのさまざまな放送番組を再点検すべきだと考える。
『めちゃ2イケてるツ!』の「しりとり侍」のように、暴力を是認するようなメッセージを青少年が受け取りかねない場面を繰り返し放送することは、テレビ局が暴力を肯定していることを意味し、「暴力行為は、その目的のいかんを問わず、否定的に取り扱う」(62条)や「武力や暴力を表現する時は、青少年に対する影響を考慮しなければならない」(19条)に抵触する。また、放送基準審議会からの要望(1999年6月)の「“いじめ”を肯定的に取り扱わないように留意する」という趣旨にも反する。
『おネプ!』の「ネプ投げ」については、「児童及び青少年の人格形成に貢献し、良い習慣、責任感、正しい勇気などの精神を尊重させるように配慮する」(15条)、「社会の秩序、良い習俗・習慣を乱すような言動は肯定的に取り扱わない」(25条)、「公衆道徳を尊重し、社会常識に反する言動に共感を起こさせたり、模倣の気持ちを起こさせたりするような取り扱いはしない」(26条)といった規定に抵触する。また「性に関する事柄は、視聴者に困惑・嫌悪の感じを抱かせないように注意する」(72条)、「全裸は原則として取り扱わない。肉体の一部を表現する時は、下品・卑わいの感を与えないように特に注意する」(76条)、「出演者の言葉・動作・舞踊・姿勢・衣装・色彩・位置などによって、卑わいな感じを与えないように注意する」(77条)など、青少年の発達にとって重要な意味を持つ性の取り扱いについての規定にも反している。
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