消費者金融CMに関する見解 


 


 近年、消費者金融CM(銀行系消費者ローンCMも含む)放送の増加に伴って、放送と青少年に関する委員会(略称:青少年委員会)にもCMへの批判的意見が寄せられている。意見の内容は、CMが「お金がなければ借りればよい」というメッセージを伝えるものであり、誰もがしていることとして安易に借金をする風潮を助長し、子どもや若者の金銭感覚を歪めるのではないか、というものと、そのようなCMを時間帯に関係なく流す放送局の倫理観念への疑問に集約される。

 CMの多くは、若者へのアピールを中心に宣伝効果をあげるよう親しみやすく制作されており、音楽は幼児が覚えて口ずさむほどリズミカルに作られている。こうした点から、これらのCMによって青少年が容易に影響を受けるのではないかと懸念される。
なお、新規顧客に関する統計は、20代の若者が約半数(45.6%)を占めていることを示している。(出典:消費者金融連絡会2002年3月期)

 放送を通じて青少年に悪影響が危惧される状況を見過ごすことはできない。視聴者から寄せられた意見にも真摯に対応すべきであると考える。
 まず、民放連放送基準は、“3章 児童および青少年への配慮”で「放送時間帯に応じ、児童および青少年の視聴に十分、配慮する。」(18)としている。
また、“17章 金融・不動産の広告”では、「金融業の広告で、業者の実態・サービス内容が視聴者の利益に反するものは取り扱わない。」(131)とし、「安易な借り入れを助長するCM表現でないこと」が留意すべき点のひとつにあげられている。さらに、“15章 広告の表現”では、「広告は、わかりやすく適正な言葉と文字を用いるようにする。」(117)と定めている。
これらを踏まえ、消費者金融CMの現状は、放送基準に抵触するおそれがあると判断する。
 そこで、以下の3点を民放各社に要望したい。

(1)

民放連が定めている「児童および青少年の視聴に十分、配慮
する時間帯」である17時から21時までの時間帯は消費者
金融CMの放送を自粛する。

(2)

金利および遅延損害金などについて、もっとわかりやすい表
現を用いて明示するなど、借金をすることに伴う責任とリス
クについても触れる。

(3)

昨今の自己破産および多重債務者の増加を踏まえ、安易な借
り入れを助長するような内容ではなく、社会的責任を自覚し
たCMを放送する。